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第一章 第10話 元アイドルが強すぎます

コンコンコン。


こんな朝早くにドアをノックする音が聞こえてきた。

少しして・・・・・・



「モカ、起きて」


「ココアさん、起きてください!」


「こんな朝早くにすみません。おはようございます」



聞き慣れた2人と違う声が聞こえた。

俺はハッと身体を起こした。

声の方向を見る。

そこには、カナとミルクの他に、アイリスさんと、アゲツネさんが居た。



「えっ、何でここに?」



「昨日また来ると言ったじゃないですか。ふふっ」


「あ、この間はごめん。変に縛ったりして」


「アゲツネ先輩、ココアさんに何かしたのですか?」


「あっ、いや、何も」




朝から美女4人。


「うわ〜、てんごく〜」



「モカ、浮かれてないで、早く食事に来て。アイリスさんもご飯を食べながら話しましょう」


「良いんですか?ありがとうございます。ほら、アゲツネさんも行きましょう」



「あ、うん」


俺を残して、4人は食卓へ行った。



「って、普通におかしいよな....」



昨日までアイドルだった人とその先輩、つまり、アイドル卒業したら女優になりますって感じの人達が、どういう理由でこんな少数ギルドに来たのか。など、疑問が多い。

カナとミルクの順応力が凄いのか、俺が鈍いのか、よく分からなくなってきた。

そんな事を考えながら俺も食卓へ向かった。


「あ、モカやっと来た」


「ココアさん、早く座ってください。これから本題に入るので」



「・・・本題?」


俺はアイリスさんとアゲツネさんをみる。



「本題というか、単刀直入に言います。私、アイリスと、アゲツネ先輩をこのギルドに入れてください!」



俺は思っていた事を言った。


「いや、このギルド、こう見えても、魔王討伐か和平を本気でやろうとしてるギルドだよ?アイドルしてた人が入るなんて、正直おすすめできないけど?」



「大丈夫です!きっと私たち、お役に立てると思ってます!」


アイリスさんはなんだか自信満々だった。



「何でそこまで言えるんですか?」


「それは、私達の戦闘を見て頂ける分かると思います」



丁度、今日は魔物の討伐に行く予定だった。


「魔物の討伐に行くので、そこで見せてください。危険だと思ったら考えさせてもらいます」



「ありがとうございます!」





俺達は厄介な魔物討伐に向かった。

今日は岩岩岩(ガンガンイワ)、そして、出くわすと死ぬと言われている魔物、死獅子(シニジシ)の討伐。

本当に大丈夫なのだろうかと思う。




町外れにある岩場の多い場所に来た。

既に10体以上の岩岩岩(ガンガンイワ)がいる。

俺は確認した。



「あの、あいつらは水が弱点ですけど、大丈夫なんですか?」



「はい!アゲツネさん!行きましょう!」


「は〜い」



「あっ、ちょっと....」



2人は走って行ってしまった。


「・・・大丈夫かな?」




そして、戦闘が始まった。


「ライブを開始します!アゲツネさん、お願いします!」



「大人しくして。百年の孤独」



それは、俺を縛った雷のロープだった。

10体近くいた岩岩岩(ガンガンイワ)を1箇所にまとめて拘束した。


そして、アイリスさんが攻撃態勢に入った。


「私で癒されてください。聖なる光(ホーリーライト)!」



手から光の粒子が溢れ出た。

その光が岩岩岩(ガンガンイワ)に降り注ぐ。



「「「「グォーーー!!!」」」」



全てがドタドタ倒れていった。



「アンコールはいかがですか?要らないですね!」


時間にして、2分程度で全て倒してしまった。

アイリスさんとアゲツネさんは素の表情出戻って来た。

俺は聞いた。



「えっと、どういう?」



「私達はアイドルギルドと呼ばれていただけで、何かあれば戦うギルドでもありましたのでこのくらいは全然できます!」



「ちなみに、あたしは知っての通り、雷属性。そして、アイリスは見ての通りすぐ分かると思うけど・・・」



「光、ですか?」



「はい。私、の属性は光です!」




この時思った。俺より強いかもしれない、と。

岩岩岩(がんがんいわ)の討伐は呆気なく終わった。

俺は結構苦戦したのだが。

そして、次は遭遇したら死ぬと言われている、死獅子(シニジシ)の討伐だ。


その討伐場所は、あの毒蜂(ポイズンハッチ)のいた山より更に奥だという。


山に入るが、先日、この辺りに居た毒蜂(ポイズンハッチ)を全て討伐したため、物静かな山になっていた。




俺達は難なく山の奥へ行けた。

その山は妙に薄暗く、なんだか息が詰まる様な感覚だった。

それに、なんだか不気味な雰囲気が漂ってくる。

すると、ミルクが本を開いて言った。


死獅子(シニジシ)は、獅子に怨念が溜まり生まれてしまった恐怖の獅子で、攻撃的で妙に殺気を放つ。そして、触れると生気を吸い取られてしまい、寿命が縮む。全て吸い取られると死ぬって書いてますよ...」



「それ、剣は使え無いって事?」


「格闘もですね...」


「うん。さすがにお姉さんも壁になってあげられない...」



俺達3人は、正直諦めモードだ。

なのに何故かアイリスさんとアゲツネさんは『問題ありません!』とでも言わんばかりに笑っている。


「なんで、そんなに余裕なんですか?」



「さっきと同じですよ!」



「はい?」



「アゲツネさんが動きを止めて、私が倒す。それだけです!」



凄く軽い感じで言われた。

一体、アイドルギルドはどういう稽古をしていたのだろうか。

すると、どこからか、



「シューーーッ」



毒でも吐いている様な声が聞こえてきた。

すると、前から足音が近付いてきた。

ミルクが本を見て言った。


「目が合った瞬間、信じられない速度で攻撃を仕掛けて来るので気をつけろと書いてます!」



「シューーーッ」



姿が見えてきた。

大きさはこの異世界にしては普通で、ライオン程度。

だが、身体の色が、自分は危険ですとでも言わんばかりに紫色だ。

アイリスさんが立ち上がった。



「ライブを開始します!」



「縛ってあげる。百年の孤独」


「私で癒されてください。聖なる光(ホーリーライト)



パわわわわわわわわんんん


「アンコールはいかがですか? 要らないですね!」


みるみる浄化されて行く。


「呆気ない....」


会って5秒くらいの敵だった。

何が危険なのか分からないくらい早く終わってしまった。



帰ろうと思ったその時、ゾロゾロと足音が聞こえてきた。

そして、そいつらが姿を表した。

ざっと10人くらいは居るだろうか。

そのうちの1人が話しかけてきた。



「俺達はギルド・ならず者だ!大人しく金目の物を出せ!」



ギルド名がならず者と言うだけあって、本当にヤバそうな人達だった。

アイリスさんが前に出る。


「退いてくれないのですか?」



「うひょー!これはアイリスじゃねえか!」


「本当だ!コイツは高く売れるぞ!」


「まずは身ぐるみからだ!」


「やっちまえ!」



一気に攻めてきた。

すると、アイリスさんは、落ち着いて剣を抜いた。



「これだけは、あまり使いたく無いのですが......」



「行けー!!」


「怯むな〜!!」


「金だ金!」



ならず者達は金に目がくらんでいる。



「聖剣、エクスカリバー!」



「にゃも!?」


俺はその剣の名前を聞いて戸惑った。

考える間もなく、



輝く(シャイニング)斬撃(スラッシュ)!!」



アイリスさんが剣を縦に振り下ろした。

それは、アニメの世界の様な飛ぶ斬撃だった。

まっすぐ縦に振り下ろした斬撃は、ゴゴゴゴゴッと鳴る音とともに、地面が割れた。




「「「うわーーーーーーー!!!」」」



「ひっひぃ!」「な、なんだこりゃ!」



ならず者達は次々に逃げて行く。


「アンコールは、要らないですね!」



俺が考えてた1歩どころか10歩くらい先を行く人だった。

俺はいろいろ聞きたいことを聞いた。



「あの、まず、その...聖剣?でしたっけ?名前は...」


「エクスカリバーです!」



即答だった。というか、俺の中では、聖剣、エクスカリバーは、どこかに埋まっていたり、勇敢な勇者、もしくはどこぞの国王が持っているイメージだ。

なのに、こんなに華奢な女の子が持っていて、しかもそれを使いこなしている。

この時、俺の頭は考える事を辞めた。


「もう、どーでもいいや。めんどくせー....」


ミルクが簡単にまとめてくれた。


「つまり、アイリスさんとアゲツネさんは、お2人共、かなりお強いという事ですね!」



もはや次元が違う。

こんなに凄い人達が俺のギルドなんかに入って良い訳がない。

すると更に、アイリスさんは、トドメを指すかのような事を言った。



「私なんかはまだまだ未熟ですよ?それに、ギルド『Masaka』のメンバーの方が全然お強いですからね」


「まぁ、本物の勇者だからね」


アゲツネさんも言う。

もう、話が何も入ってこない。

考えるを辞める以前に、聞くことを辞めさせてもらいたい。




とにかく分かった事は、2人は強いという事。

そして、ギルド『Masaka』は本物の勇者様。

これだけ理解できただけでも凄いと思ってもらいたい。




帰り道、頭はずっとボーッとしていて、誰かが話しかけてくる声など、何も聞こえなかった。

そして、気付いたら家の前にいた。

ミルクが言った。


「あれ、ドアの所に、何か紙が貼ってありますね」


「貸して、お姉さんが読んであげる」


カナが読んでくれた。


「えーと、....僕達は、アイドル勇者ギルド・Masakaと言うものです。後日、あなた方とお話がしたい。良かったら、僕達の拠点、『海山城』に来て欲しい.....ってさ」



「えーー!」



俺は本当にトドメを指された。

頭の中がパニックだ。



「頭が....爆発寸前なんだけど.....ヤバい....とにかくヤバい...」

何故か腹を刺された感覚だった。気分も悪い。


「ココアさん、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ?」



「モカ、お姉さんが見てあげよっか?」



「いえ、ここは私にお任せください」


アイリスさんが俺に手をかざした。



癒しの(ヒーリング)ステージ」



あたたかく、優しい光が俺を包み込む。

なんだかスッキリしていく。

大分気分が晴れてきた。



「アイリスさん、ありがとうございます」


「いえ、このギルドに入れてもらうのですから、このくらい当然です」



この人は何を言っても1度決めた事は貫き通すタイプだと思った。



「分かりました。それでは、アイリスさん、アゲツネさん、これからよろしくお願いします!」



「「よろしくお願いします!!」」



こうして、なかなかに個性的な2人が仲間に加わった。

それは、良いのだが.....




「「「アイリス様〜」」」「「アゲツネさん〜」」



外が以上にうるさい。

こんな有名人が魔王討伐に行くなんて皆に知られたら、一体、どういう事になるのだろう。

とにかく、そこが心配だった。


それは、さておき、ギルド・『Masaka』には確かに興味があった。

俺は言った。


「よし!『Masaka』の所へ行こう!」




「ココアさん、今からですか?」



「えっ、『Masaka』に会いに行くの?」


ミルクとカナは、もうお腹いっぱいですと言わんばりの顔をしていた。

確かに今日はいろいろ驚かせれて、正直な所、俺もお腹いっぱいだ。

だからこそ、今日中に『Masaka』に会いたいと思った。

今回も読んでいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願い致します。


また、感想や、評価、ブックマークなど、よろしくお願い致します。

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