イエメン共和国 〜アラビアンナイトの世界〜(西アジア)
基礎データ
国名 イエメン共和国
面積 55.5万平方キロメートル(日本の約1.5倍弱)
人口 約2,892万人(2018年)
首都 サヌア
通貨 イエメン・リアル
言語 アラビア語
宗教 イスラム教スンニ派及びザイド派(シーア派の一派)
各目GDP順位 103位
一人当たりの各目GDP順位 167位
平和度指数ランキング 160位
・概略
紀元前からインド洋航路の中継港として栄え、「幸福のアラビア」と呼ばれたアラビア半島南西部の国家。イスラーム教スンニ派がほとんどだが、シーア派の一派であるフーシ派反政府勢力との間で内戦状態にある。日本ではモカ・コーヒーで有名。モカとはイエメンの貿易港モカから豆が輸出されたことに因んでいる。そのため本当の純国産銘柄が飲みたいのなら、「モカ・マタリ」を飲もう。
・歴史
中継交易で栄えたのち、ペルシャ帝国、イスラーム帝国、オスマン帝国の支配を受けてきた。
第一次世界大戦後にオスマン帝国が敗北すると、北西部がイエメン王国(イエメン共和国)として独立する。南東部は英国の植民地時代を経て、アフリカの年と呼ばれる1960年から7年後、民族解放戦線の活躍もあって独立を勝ち取り、イエメン民主人民共和国となった。東西冷戦の影響で両勢力は幾度か衝突したものの、アデン合意により統合する。旧南イエメン勢力は後に左派政党の社会党を形成した。
現在は政府軍とフーシ派武装勢力の間で内戦状態にある。前者はサウジアラビア、後者はイランによって支援されており、俄かに代理戦争の様相を呈しはじめた。安定化の努力も行われているものの、目処は立っていない。
・経済
石油や天然ガスの輸出が収入源だが、量は少ない。
嗜好品として親しまれるカートという植物が大きな市場を持っている。しかし多くの国家では麻薬扱いされているので、利用の際は注意しなければならない。(なおイエメンではイスラーム法に則り飲酒が禁止されている)
戦争の影響で人道的な状況は極めて悪く、またコレラの流行もあったため、経済成長は進んでいない。
・軍事
二年間の兵役がある。兵力は六万六千七百人を数えており、最高指揮官は大統領にある……というのが建前で、実質的には政府の長である首相に属する。
海軍ははオーストラリア製のペイ級警備艇十隻が主力である。しかし海外からの密輸に対抗するには25隻の小型艇では力不足感が否めない。
対して陸軍は比較的強力である。歴史的経緯から東西両陣営の兵器を持っており、ソ連製の戦車1200輛と歩兵戦闘車700輌、アメリカ製の装甲車2000両以上を保有している。しかし近代化は進んでいない。
・その他
成人した男性はジャンビーヤという半月型の短剣を所持できる。ある人は、現代までアラビアン・ナイトの世界が継承されていると言ったとか。
ソマリア沖のイエメン領ソトコラ島は、インド洋のガラパゴスと呼ばれるほどの固有種の宝庫である。