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魔導師は高所恐怖症  作者: 不知火
第1章 始まりのプロローグ
8/8

決闘(1)

「お先に。」


シャルロットが教室を出て行った。後ろをいつもシャルロットと一緒にいる女子達が追いかけて行く。


「た、大変な事に巻き込まれちゃったね...」


「あのSランクのシャルロットさんと決闘でしょ? 大丈夫なの?」


宗一と千夏が話しかけてくる。


「大丈夫じゃねえよ...全学生の中で3番以内に強い奴と戦う事になるんだぞ...」


「まぁでも悠ならもしかしたら、もあるかもしれないしね。」


「うんうん。悠ならあるかもね!」


「お前らどれだけ俺の事を過大評価してるんだ?俺はそんな器じゃねえよ。」


と話していると野次馬をしていた男子生徒達が近寄ってくる。


「なぁなぁお前、ないとは思うけどもしだな?仮に、万が一勝ったら...ナニお願いするんだ?」


「そんなの決まってるだろ? なんならお前らも混ぜてやろうか?」


まぁ、無理なのだが。


「是非お願いするぜ!」「心の友よ!」「お前最高だぜ!」「お前の勝利を願ってるよ!成瀬!」「グヘヘへへ、踏んでもらえるのかぁ」「...今は俺も同類だから何も言えねえよ...」


そんなこんなで15:45になった。


「このままだと不戦敗になっちまうから俺は行くよ。」


「おう!俺たちも見に行くから頑張れよ!」


「おう!」


教室を出てアリーナに向かった。








今入ったこの建物はアリーナ。正確には第2アリーナだ。


アリーナはこの学校の広大な敷地の一角にある巨大な建物だ。東京ドームと同じくらいの広さがあるらしい。


と言うか構造もスタジアムだ。 東京ドームとさほど変わらないだろうよ。一個違うのは屋根が無いってことだな。


このアリーナは普段は魔術競技祭やその他の行事に使われるのだが、今回の様に決闘する際にも使われる事がある。


地面にはこの学校の教師陣の力を結集させた、絶級の巨大魔法陣が存在している。


凄まじいほどに優れもので、即死じゃなければ起動した瞬間瞬時に回復してくれるって代物だ。


だから決闘で死にかけても大丈夫って事だな。 なんてありがたいシステムなんだろう殺したくなるぜ畜生


枠が赤く塗られた扉を潜って控え室に入ると時刻は15:55分。 チラリと外を見ると観客が沢山集まっていた。 中等部と高等部だろうか。情報が早いこった。


よく考えてみればあのSランク魔導師のシャルロットの戦いが見られるんだ。 そりゃ注目もするでしょうよ。


つまり皆俺なんて見向きもしていない。自分で言って悲しくなってくるぜ。


さぁ、そろそろ時間だ。 どこまでやれるかは分からねえが......久しぶりの実戦、瞬殺はされない様に頑張ろう。






「「「ワーーーーーーーーー」」」


『只今より始まります注目の一戦! 方や最強のSランク、方や最低のEランク! どちらが勝つかは明白な様な気もしますが、何がともあれ注目の一戦です!まずは青コーナーから出てくるのはぁぁぁぁ!?』


青コーナー。俺が赤だから向こう側だ。つまり...


『皆さんご存知シャルロットさんだぁぁぁぁぁ!!!』


「「「「ワァァァァァァァァァァァ」」」


『対する赤コーナーから出てくるのは...、Eランク魔導師、成瀬悠選手だ!!!』


シーーーーーーーーン


まぁ知ってたけどね。悲しく無いよほんとだよ!?


「悠~頑張って~!」


「悠、頑張れよ!」


「俺たちの為にも頑張ってくれ!成瀬ェ!」


お前達...これだけで元気が出た...気がする。


『さて両選手位置に着きました! 注目の一戦が始まろうとしています!』










「先生~、成瀬ってどんな奴なんですか?」


「そうだな...まぁ聞いた通りのEランク魔導師だ。」


「Eって最低ランクですよね? 本当にいるんだ...」


「ぶっちゃけそんな奴とシャルロットさんを戦わせても意味なく無いですか?」


「...いや、そうでも無いかもしれんぞ?」


「「「「え?」」」」


「私の見立てでは...成瀬は、案外やる奴かも知れんな、と思ってな。」


東堂は手元のタブレットに視線を落とす。


魔導師の評価基準の1つとしてパラメーターと言うものがある。

シャルロットのパラメーターは、


魔力 S 攻撃力 A 回復力 B 筋力 C- 機動力 A 耐久力 B+


と言った感じだ。 全体的に優秀で特に魔力は最高のSランクだ。 別にこの数値の平均が魔導師のランクに設定されるわけでは無い。その他の評価項目も当然存在する。


さて、対する成瀬のパラメーターは...










「悠、勝てるかなぁ?」


「どうだろう。 でも、ここにいるみんなが思ってるような結果にはならないと思うよ。」


「だよね!悠、本当は強いのに、なんであんなにランクが低いんだろう...」


「単純な強さだけじゃ決まらないってのはわかってるんだけど...なんだかやるせないよね。」


「まぁ終わってみれば結果はわかるよね!」


「そうだね。僕らにできるのは応援する事だけだ。信じよう。悠を。」


「まぁ悠が勝った時の条件を考えると...うわぁ、応援したくなくなってきた...」


「確かに...」













『さて両選手位置に着きました! 注目の一戦が始まろうとしています!』


『最後の確認です! 両者の内片方が降参する、或いはこちらが戦闘続行不能と判断した場合勝負は終了します。【魔導器(ウエポン)】の使用は禁止、制限時間は10分。時間切れの場合は引き分けとします!』


双方が構える。


『レディィィィィィィ、ゴォォォォォ!!!』


ゴングの音が響き渡る。









悠視点


開戦のゴングが鳴る。と同時にシャルロットが力ある言葉を放つ。


「【飛行(フライ)】!!!!」


シャルロットが飛び上がる。だが俺は飛べない。


来るその時を待ち、集中する。








シャルロット視点


...!?飛ばない!?


【飛行】の魔術を使わない? 舐められていると言うの?


今までにない屈辱を味わうシャルロット。


「この私と相対してその態度...悪いですが許しません!」


スゥゥっと息を吸う。そして放つッ!!


「【(ライトニング)(ジャベリン)】ッッ!!!」


私の周囲に5つの魔法陣が展開される。そしてそこから雷で作られた槍が出現した。 雷属性上級魔術、【雷槍】だ。さらにそれを高等技法の【同時起動(マルチキャスト)】を用いて5回同時に発動。そうして構築された5本の雷槍があの不届き者を貫くッ!


「恨まないでくださいね!」


私が手を前に突き出すと五本の槍が一斉に彼を突き刺そうと突き進む!


あとコンマ1秒で当たる。勝ちを確信した。


その瞬間、彼の口が何かを紡いだ様な気がした。


そして数瞬の後、一際大きな輝きが起こったかと思えばそこに残ったのは焼け焦げて少し抉れただけの地面


そして


何事もなかったかの様に手を前に翳して佇む成瀬悠だった。










手元のタブレットに表示されているパラメーターは、

成瀬 悠


魔力 B 攻撃力 A+ 技術 S 筋力 B 機動力 E 耐久力 C


と書かれた、通常Eランクとは思えないパラメーターだった。

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