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魔導師は高所恐怖症  作者: 不知火
第1章 始まりのプロローグ
3/8

入学式

学園の敷地内に足を踏み入れるとそこには多数の新入生と思われる人達が昇降口前に並んでいた。入学者かどうかを確認する為に名前を名簿と一致させるあれをしてるんだろう。


うちの学校はマンモス校だから時間がかかる為、こうした行列になる。一種の風物詩だ。


「いやー今年も凄い列だねぇ」


「本当にな。まぁ毎年の事だし、まずこいつらも中等部に進学した時に同じことあっただろうしなぁ」


「まぁね。 僕らは今年からこっちの昇降口だよ。クラス替えの掲示もしてあるはずだ、早く行こう」


「おう」


進級した事で変わった昇降口へ向かうとそこには新クラスの表が大きく貼られていた。


いや、貼られているのだろう、か。


凄まじい数の生徒が張り紙がしてある...であろう箇所に集まって大きな団子になっている。 ここだけコミケか何かか?


「す、凄い人の数だね......」


「ま、まぁそりゃこうなるわなぁ」


「これ、最前列で確認した人も出てこれないんじゃない?」


「だね......」


これには流石に教師陣も対応してきて、もう2枚新たな紙を貼り付ける事によって分散し、収束した。


「さてさて...何組ですかーっと」


「あ、私A組だった!」


「僕もA組だよ。同じだね」


「やったぁ!宗一君と一緒~!」


俺の名前俺の名前...どこに書いてあるのか.....


こいつら2人はどっちもA組だったらしいが...俺の名前もあったりしないか...って!?


「お、俺もA組だ。」


「え、本当!?」


「本当だ...3人同じクラスなんていつぶりだろう?」


「初等部の4年生以来じゃないかな?」


「そうだな。確かそこ以来だ」


「幸運だったね。じゃあ後ろの人にも悪いからさっさとA組に向かおうか」


そして2人は先に歩き出す。


だが俺はその場に暫く釘付けになった。



2-A シャルロット・アルトリウム



確かこいつってあの例のSランクだよな...同じクラスなのか......


「何やってるの?行くよ!」


と襟を掴まれてグイグイ引っ張られる。


「わかった、わかったから引っ張るのやめろ!」


...最低ランクと最高ランクが同じクラス、ねぇ?


また何か作為的な物を感じるよ。対比して価値を増そうかって考えか?コンチクショウ。








新しいクラスに入ると既に何人かの生徒が座っていた。


当然見たことのあるやつや同じクラスになったことのあるやつ等知ってる人ばかりだ。


軽く挨拶をして席に座る。


うちの学校は教室の中身が少し変わっていて、教壇や黒板代わりのディスプレイがある場所を一番底としたすり鉢状の形で机と椅子が並んでいる。


さらに自由席だ。


なので俺は素早く1番前...は嫌なので2列目の廊下側に座った。いつもの位置だ。


千夏と宗一は俺の1つ上の段に2人並んで座っている。仲がよろしいこった。


しばらくするとあらかたの生徒が席に座った。


キーンコーンカーンとチャイムが鳴る。すると前の扉から先生らしき人が入って来る。


そして教壇に立つと自己紹介を始めた。


確かこの先生は......


「この2-Aの担任を務める事になった東堂秋乃(とうどう あきの)だ。よろしく頼む。」


そう、東堂先生だ。端的に言えばすっげえ美人。 短めに切ってある黒髪がその下の切れ味の良いナイフの様に端正な顔と合っている。だが少々怖い。目付きが戦場に生きる者のそれだ......


「えー、早速だが移動だ。入学式だから体育館に集合。ガキみたいに並んで移動、なんてしないから遅れずに来るんだぞ」


ゾクッと身を震わせている間にも話していた東堂先生がそう言い残して足早に教室を出て行った。


「あの先生綺麗だったよな!」 「あぁ。すっげえ美人」「でもちょっと怖そうだったよな......」「あ、確かに」「でもあの先生に罵られるなら本望かも知ない......」「お、お前、そっちの人間だったのかよ!?」


クラスの中は概ねこんな感じの会話だ。1人おかしいやつが混じっていたが......


時計を確認すると時刻は8:50。そろそろ移動する時間かと思い、立ち上がった。するとちょうど後ろの宗一と千夏も立ち上がっていた。


「もう行くか」


「そうだね」


俺たちは教室を後にした。










体育館に着くとフロアに新入生用と思われるパイプ椅子が並んでいたが、肝心の新入生はまだ来ていない様だ。後で入場して来るのだろう。


体育館もやはり大きなステージが奥の壁際にあり、フロアを底として3方のすり鉢状になっている。


そしてそれは4層になっていて、下から1年 2年 3年 そして教師陣&特別なイベントの際の保護者席、という訳だ。


本来なら一年もすり鉢状に段になった位置に座るのだが、流石に壁際の席で入学式と言うのもなんだって事だな。


しばらく待つと照明が切り替わる。


そして新入生が体育館に入場して来る。恒例の拍手タイムだ。 腕が疲れるヤツ。


「初々しいねぇ~」


「そうだな。 俺たちもあんな感じだったのか」


「うん。 きっとそうだよ」


拍手タイムが終わり、新入生が全員席に着くと司会役が進行を始めた。


『只今より、国立東京魔術学院大学附属高等学校、入学式を執り行います。 まず、学園長の挨拶です』


一旦司会側のマイクが切られると、ステージの脇から細身の男が出て来る。


そうしてステージ上の台の所まで行くと、深々と礼をした。 俺たちも習って礼をする。


あれが学園長、宝生院新羅(ほうじょういんしんら)だ。


白髪ではあるが、すらりと伸びた長身は一切背骨が曲がっていない。


かなり年は行っているはずだが20~30代と言われても普通に信じてしまいそうだ。


彼の実績は凄まじい。言わずと知れた元Sランク魔導師で海外の魔導師リーグでも活躍し、幾度となくシーズン1位を取り続けた。未だに世界最高の魔導師の1人との呼び声も高い。


また数々の凶悪な魔導犯罪を解決した事で、【世界を100回救った男】とまで呼ばれている傑物だ。


ちなみにこの学校の学園長と言うは小学部~大学部まで全ての長と言うこと。


そのためこの学校の入学式は時間が全てズレている。


中等部→高等部→初等部→大学部の順になっていて、学園長が全ての式に出席できる様になっているのだ。


『どうも、新入生の皆さん。国立東京魔術学院大学附属高等学校へようこそ。 学園長の宝生院 新羅ですーーー


そこから5分程度の話を済ませて学園長は壇上から去って行った。 忙しい人なのだろう。


そこから入学式は恙無く進行し、閉会式まで終わった。


あとは教室帰るだけかと思ったらまだ続きがある様だった。


『続きまして、本校に今日付けで転入となった、シャルロット・アルトリウム様のご挨拶です』

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