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ドーナツと僕

作者: Seisuke

地球は丸く中心は熱い

しかしながら僕の心はポッカリと何かが足りないそんな気がします、そう、ドーナツのように、


ドーナツさん!どうして穴が空いているのですか!


ドーナツさん「あなたはまだ私の全てを理解してはいないのです。この穴の重要性を認識することが世界を理解する第一歩です。まずは、穴の味を意識してご覧なさい、踏み出すのです。」


ドーナツさーーーーん!


2


穴の味とは一体、、そもそも何もないじゃないか、、空気を味わえばいいのか?酸素?窒素?二酸化炭素?そんなのわかるわけない!


ドーナツさん「ふふふ苦しんでいますね」


何がおかしい?訳のわからないことを言って混乱させて本当は意味なんて無いんじゃないのか?


ドーナツさん「それでいいのですよ、誰でも最初はわからないものです、それでもあなたは理解しようと努めたではないですか、ヒントをあげます、お腹空くと辛いですよね、思い出して下さい、そしてお腹すいて見てください、きっと、何かに気づくでしょう」


空腹を感じろって?それならまた明日会いに来るよ。


3


ぐ〜


はーお腹すいたー、腹ペコだー、辛いだけで何も分かんないよドーナツさんが何かに気づくと言っていたからもう暫くこのままでいよう、、、


ふわり


綿毛さんだ、かわいいなあ、君もいつか地面に降りて根を張って鮮やかな黄色でこの世界に色を塗るのかい?真っ白で無垢な君は何にでもなれる可能性を秘めてる、、世界を見渡して、、感じて、、それはほんの一瞬の出来事かも知れないけど、、、一生忘れられない君を彩る絵の具だよね、、、そして君も世界にとって大切な絵の具となるんだね、、


30分後


分からん!何も分からん!砂漠の真ん中にいるような気分だ!オアシスがほしい!結局何もない!ドーナツさん僕で遊んでるんだ!そうだ!絶対そうだ!もう食べる!


はー幸せだー、炊きたてのごはんですよねやっぱり日本人はごはんですよ!パンも美味しいけどごはんですよ、コーンフレーク?邪道邪道、はー幸せだ、、、、、、、、ん?、、、、、、、


4


胃はさっきまで空っぽだった、ごはんで満たされている、今すごく幸せ、、、、いつもならお腹空いたら機械的に食べてた、何も考えなかった、普通の事だと思ってた、欠乏と過剰、豊富と僅少、1日に何回も繰り返していたんだ、、、何か、何かわかった気がしてきた、、


ドーナツさん!僕何か掴んだような気がします!お腹空くと辛いのは、お腹いっぱいを知っているからですね!胃に空いた空洞は、幸せの一歩手前ですね!


穴の味を意識するという事は空間の存在を意識するという事、何もないわけではなくて、視覚化された支持基盤、根っこの存在を確認するという事。


そう、それは、、、


5


ドーナツさん「あなたはこの1日足らずで大きな成長を遂げました。ドーナツにより囲まれた空間はドーナツを構成するために必要な存在、空間がなければドーナツを美味しくする事が出来ない、そうあなたはもう気づいているはずです、全ての事、物に意味はあるのです。それが例え目に見えないものだとしても。」


ありがとうございますドーナツさん、いや、先生と呼んでもよろしいでしょうか、これからも先生から大切な事を学びたい、先生のようになりたい、先生のように美味しく、味のある存在になりたい!!


ドーナツ先生「残念ながら、私はもう、いかなくてはなりません」


え、、、、


6



ドーナツ先生「そこにいるOLさんからご指名が入りました、私はドーナツです、人に食べられる為に、人を幸せにする為に生まれてきたのです。彼女もまた苦悩を抱えている事でしょう。自分1人では解決できないでいるのでしょう。彼女の表情が私に語りかけてきました。私はそれを解くことの出来るドーナツかもしれません、それは誰にもわかりません、ただ、私はその瞬間に私の全てを解放するのです。厳選された材料、水、卵、混ざり合って1つになり伸ばされてこねられて、丸く形作られて、揚げられている時なんてそりゃあもう希望に満ち満ちているのです。どんな味になるのかな、どんな人に食べられるのかなって、楽しくて仕方がないのです。あなたに会えたことは幸せでした、最初は買ってくれるのかなって、ワクワクしました、、そしてあなたは私に語りかけてくれました、、すごく嬉しかった、、あなたは私にとって大切な存在です、、それではまた何処かでお会いしましょう。」


先生、、


7


つま先から渦巻きへ、僕を駆け抜けたドーナツ先生、僕も先生のように人を幸せに出来る人になりたいです、人の人生は地球の誕生から見たら瞬きほどに一瞬かもしれない、僕とドーナツ先生が出会った時間はさらに短く目で追えない、人の数だけその瞬間は存在する、ぱちっと弾けて消えた時、ほのかに香る幸せを、この世界に分けていきたい、、


ぱちり


音のする方へ目をやると立派に咲いたたんぽぽが風に揺られていた



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