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昨日の夜、目覚まし時計をセットするのを忘れていたようで、気が付いたら七時三十分、いつもより三十分も過ぎていた。

 それで、いつも誘いに来てくれる幼なじみの涼子に先に行ってもらい、後から追いかけることにしたのだ。

 ロス時間は一五分。

 あたしの足ならこれくらい……なんとか……やっぱり……ダメかなぁ。

 学校へは、近くの大きな公園をぬけ、そこから延びている商店街を通れば一番近い。

 そしてそこの突き当りを右に曲がりしばらく行くと、あたしの通っているそこに突き当たる。

 あたしは公園をぬけ商店街を風のごとく通り抜けた。

 長い髪が、生き物のようになびく。

 商店街の突き当たりを曲がったところでやっと涼子の姿を見つけた。

 赤い大きな鞄であたしはすぐに分かる。

 あたしは『らっきー、追いついたぜっ!』と思いながら、近づいて早速声をかけようとラストスパートを試みた。

 ところが……。

「涼子、おは……わぁっ」

 あたしは身体が空中に浮くほどのヘッドスライディングをしてしまった。

 歩道の段差で、思いっきり派手に躓いたのだ。

「いたたたた、なんで、あんな所に段差があるんだよぉ」

 こけてもがいているあたしに気づき、涼子がすぐ駆け寄ってきてくれた。

「あっ、有美、だいじょうぶ?」

「う、うん」

 あたしは涼子の腕を借りて起きあがった。

 やっぱり持つべきものは友だなぁ。

 そのとき背後でいやーな笑い声が聞こえたので後ろを振り向くと、同じクラスの男子数人がこっちを見て思いっきり笑っているではないか。

 そしてなにを考えたか、あたしと目が合うと思いっきり走っていった。

「あいつら、あたしが転んだのを見て笑ってたんだ」

「……有美、……スカートがめくれていたからだよ。……はい、鞄」

 小さな声で言いながらあたしが飛ばした鞄を持ってきてくれた。

「えっ、あたしの……このスケベどもが!」

 怒りと恥ずかしさで顔が赤くなっていくのが分かる。

 あいつらしかいなかったのが不幸中の幸い。

 なんだか今日は、朝から全然調子が出ないなぁ。

「そんなことより、早く行かないと遅刻するよ」

 あたしは砂埃を払ってから歩き出した。

 ところが、なんだか歩き辛いと思って足元を見ると、なんと靴紐が切れているではないか。

「あっ、靴紐が切れてる」

「え、ああほんとだ。なにか不吉なことでも……」

 涼子は冗談か本気か分からないような感じで言ってきた。

 涼子はこれが恐い。

 あたしなど、何回これに惑わされたか。

「縁起でもないこと言わないでよ」

 苦笑しながらも切れた靴紐を結び合わせ、なんとか普通に歩けるようにした。

「いそがなきゃ」

「そうだね、今日はちょっと遅れてるからね」

「誰のせいだ?」

「あたし?」

 あたし達はもうだれもいない道を駆け出し、チャイムとほぼ同時に校門をくぐった。

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