目次 次へ 1/11 1 「いってきまーす」 あたしは急いで玄関で靴を履く。 「有美、傘持っていきな、雨降るから」 振り返ると、母さんがあたしの傘を持って後ろに立っていた。 「いい、いい。たぶん降らないから。天気予報でも降らないって言ってたし」 「あら、そう。それからね、母さん、お昼お友達の所へ行って居ないから。お昼ご飯は自分で作って食べてね」 いつもののんびりペースで話す母。 急いでいるあたしにとっていい迷惑。 「はいはい。いってきまーす」 話を軽く聞き流して急いで玄関を飛び出した。