097.いるかの曲芸
3分割、いや、せめて2分割したいくらいの長さ・・・
なぜ、こうなった?
【文化ランク:1 発展ランク:1 人口:199人】
土木ギルドにやって参りました。
もちろん、ボクが楽をするためです。
『養殖一品モノシリーズ 土方マッチョタイプ 超マニアックなニーズに対応、【土魔法】が使えるのになぜマッチョ? もしかして【土魔法】いらなくね?』と言う、大量にあった値札の上に複数枚の値札が張ってあって最終的に価格が1ペッタンになったパッケージを開封してギルド長を始め、ギルド職員を作りました。
今日、土木ギルドに来たのは、城郭内外の開発のためです。
城郭外には、田畑や牧場を作りたいですし、城郭内は、まだ、スカスカで建物をいくら建ててもきりがないくらいです。
土木ギルドのメンバーには、パルダリウム内でのオーナメントの設置許可を与えて、ボクの仕事を肩替わりして貰うんです。
まだ各ブロックの領主を決めていませんが、仕事は領主からの依頼で建物の設置や道路の設置をして行く予定です。
全部のブロックの領主と調整しながら、ボクひとりでそんな作業は無理です。
いや、出来るんですけど、何年かかるか分かりません。
食堂の仕事もありますしね。
まぁ、趣味でやってるだけですけど。
と言う事で、土木ギルド準備・・・ボクと打ち合わせ出来る準備が出来たと言う連絡が来たのでやって来たのですよ。
「ギルド長はいるかの曲芸!?」
そう言いながら、ギルドの出入口の扉を開けて、ボクたちは、中に入りました。
シィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
やっちゃった感じです。
土木ギルド内の職員たちが信じられないモノを見ているような視線を向けてきました。
この挨拶は土木ギルドに入る時の正式な作法だと記憶してたんですが・・・。
あっ、違いました。
こっちの世界に来てからの記憶じゃないです。
こっちの世界に来る数日前にマンガ喫茶で読んだ知識でした。
でも、後には引けません。
引いてはいけないんです。
強気です。
強気に出なければいけません。
そうです。
白を黒と言わせるくらい強気に出ないと行けないんです。
【神の加護:レベル制限:001】を、解除します。
ボクの身体の中心から、気が溢れ出る感じです。
お尻から空気じゃないですよ。
身体の中心から気です。
その辺を間違えないで下さいね。
【乙女流:陰陽術:息吹・風・狐】
殺気だけのバージョンのフルパワー版です。
周りにいる人はマグロ用の超低温冷凍庫の中にいるような感覚でしょう。
マイナス60度です。
像が踏んでも・・・じゃなくて、バナナでバザールデゴザールです。
違います。
バナナでくぎゅ○が撃てる温度です。
ダメです。
似てるし、倒せるけどけどダメです。
ロリ貧乳キャラの声優さんが減るので、絶対にダメです。
そうです。
バナナで釘が打てる温度です。
と言うか、感覚だけで、1度も温度は下がっていません。
でも、これだけで、みんな泣きそうです。
ムキムキマッチョな職員たちがですよ。
「ギルド長、これはどう言う事ですか?」
ギルド長を、睨み付けながら言い放ちます。
本当に可哀想です。
理不尽すぎです。
「ど、ど、ど、ど、どう言う事とは、ど、ど、どう言う事でしょうか?」
『噛みまみた』と言っても、突っ込みが入らないくらい噛み噛みです。
いや、噛んでないでしょう。
と、突っ込みを入れておきます。
ギルド長は、地震の震源地で立っているくらいガクガクと足を震わせて、揉み手をしながら、訳が分からない表情をしています。
ボクだって訳が分からないですよ。
ただ、勢いで口にしてるだけですからね。
「職員への教育がなっていません。つまり、ギルド長の心構えがなっていないんです。土木ギルドは、お客様が入ってきたのに挨拶も無しですか? それどころか、みんな固まってるだけで、リアクションもないんですか? その筋肉は飾りですか? これで客商売が出来ると言うんですか? 確かに技術があれば仕事は出来るでしょう。でも、仕事が出来るからと言って、商売が出来るとは限りません。これは、職人が起こしやすい間違いです。気難しく無愛想な職人と笑顔で愛想のいい職人、どっちをお客様は選びますか? ギルドは、職人の・・・そう個人の工房の集まりでしょう。でも、集まったからには個人の工房の対応をしてはダメなんです。ちゃんと、ギルドとして、何にでも商売にしてしまう優秀な商人の顔も見せないといけないんです。そして、お客様からのクレームや無理難題をクリアする事で、新しい商売が見つかるんです」
【神の加護:超ご都合主義】
これの出番です。
そして、【神の加護:インダス】です。
ありましたよ。
本当に素晴らしいご都合主義です。
考えたように世界が変わります。
世界が改変されたのを確認して、お取り寄せ場所を調整します。
「ギルド長、これを・・・」
床をコンコンと踵で蹴りました。
ギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ
ちょっとサブイボが立つくらいの音をたてて自動的に、床下収納のフタが開きました。
「こんなところに、いるかの着ぐるみが! 気付きませんでした」
お取り寄せしたのは、いるかの着ぐるみです。
フックが付いていて吊す事の出来るヤツです。
「そして・・・ちょっと退いてね」
ギルドのカウンター内の、今出来たと思われるボタンを押します。
ウィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
天井からミラーボールのようなモノが降りてきて光りました。
ギルド内の床が水に・・・、違います。
立体映像です。
風の魔石と火の魔石を使って、空気の濃淡を作り、光を屈折させて幻を投影させています。
微かに波の音も聞こえます。
潮風の肌触りと匂いもします。
リアリティがありすぎます。
本当に、無駄に凝っています。
ざっぱーーーーーーーーーーーーーーーーーん
という効果音の後に、ギルドの奥の扉が開きました。
天井までの高さの扉です。
そして、その開いた扉にスポットライトが当たりました。
「こんなところにも、隠し扉があっただなんて、全く気付きませんでした」
あー、ついさっき出来たばかりだと思いますよ。
ウィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
天井からフックの付いたワイヤーが動いて来ました。
ワイヤーアクション用のですね。
いるかの着ぐるみを引っかけるのに丁度良いヤツです。
隠し扉から出来てて、一度カウンターの上で止まり、判断側の隠し扉に消えていきました。
「こんな仕掛けまであったんですね。ラーマさまに、準備期間を貰ったのに、気付く事が出来ませんでした。そして、これがラーマさま流の試験だったのですね。きっと、私たちは不合格でしょう。でも、もう一度・・・いいえ、出来るまでやらせて下さい。いるかの曲芸はマスターして見せます。ギルドのメンバー全員がいるかの曲芸をマスター出来るように指導していきます。ですから、私たちに土木ギルドを運営させて下さい」
土木ギルド長は、頭を下げました。
「「「「「お願いいたします」」」」」
職員たちも、その場で頭を下げました。
いるかの曲芸は、どうでもいいんです。
それより、仕事をして下さいね。
なんて、言えないですよね?
「分かりました。これからは、頑張って下さいね」
そう答える事しか出来ませんでした。
ほんと、仕事はちゃんとやって下さいね。




