092.3回の質問
「し、し、シンだって、俺らの食事担当が作った食事を喜んでいたよな?」
思わぬシンの言葉にセルシオさんがしどろもどろです。
「そ、そうだ、そうだ。セルシオの言う通りだ」
噛みっ噛みです。
舌は大丈夫でしょうか?
「オレは、気付いたんだ。違うな。聞き流して、スルーしてただけだ。天界で、波風を起こさせないように、力ずくの手段を使ってくる大きな声のヤツらの聞いていた。秩序を守り、理不尽な事も我慢してくれていた人たちの正しい小さな声をスルーしてな。完全食を食べるようになったのもそのひとつだ。そして、これもだ。てめぇらも飲んでみろ」
ジャァァァァァァァァァァァァァン
シンは、アイテム収納から、ボクが昨日渡したお酒を取り出しました。
ちなみに音は出てません。
ボクの心の中だけの擬音です。
ポンッ
シンがフタを開けたのはフランスはシャンパーニュで作られたスパーリングワインです。
シャルドネと言うぶどう100%の辛口の白ワイン・・・実際の味は知りませんが・・・。
蜂蜜、白桃、アーモンドローストのあっま~い香りがします。
昨日、シンに頼まれて【神の加護:インダス】でお取り寄せしたヤツのひとつです。
カルキが甘い香りに釣られています。
すっかり餌付けに成功してる感じです。
「セルシオ、レパード、一杯どうでぇ?」
くいくい
シンの装備の布の部分をカルキが引っ張ったようです。
「もちろん、カルキの分もあるぜ。って、お嬢」
【神の加護:インダス】を視線と思考で制御して、ワイングラスを準備します。
ついでにテーブルと同じスパーリングワインとミードもね。
「はい、どうぞ」
1聞いて10返します。
それくらい出来ないと営業職なんて出来ません。
「わりぃな、お嬢。じゃあ、カルキ、先に呑んでくれ」
とくんとくんとワイングラスにスパーリングワインを注いでいきます。
下から四分の1くらいのワイングラスの一番太いところで、ワインの瓶をクルッと回して注ぐのを止めました。
通っぽい注ぎ方です。
カルキは、シンにお礼を言って、一口口に含んで、味を確かめているようです。
「甘い香りとシュワシュワがいい感じなのじゃ。でも、ミードのほうが好きなのじゃ」
そう言って、残りを飲み干して、ボクにミードをせがんできました。
ティコアはスパーリングワイン、クリスとマナは蜂蜜水を楽しんでいます。
もちろん、ボクが準備しました。
「セルシオ、レパードは、どうするんだ?」
シンは、カルキたちを見て、反応出来ずに、ぼう然としていたセルシオさん、レパードさんにもう一度、聞きました。
「シン、これ酒か?」
やっぱり、判断はつくようです。
知識としてあるか、呑んだ事があるのでしょう。
セルシオさんの中の人は、偉いさんかもしれません。
「おうよ、お嬢に取り寄せて貰ったんだぜ。酒はパルダリウム外だと手に入れる事が難しくて出来ねぇかもしれねぇが、パルダリウム内は治外法権だからな。そして、このパルダリウムは、お嬢がルールで法律だ。ダレにも、文句を言わせねぇ」
ニッと、シンは良い笑顔でセルシオさんとレパードさんに向かって、3回目の質問です。
「で、どうするんだ?」
聞く前に2人の手はワイングラスに向かって動いていました。




