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082.ミード

「おかわりをドンドン焼いていきますね。って、その前に、とっておきの予告編という事で・・・」


 視線と思考制御で、【神の加護:インダス】を起動して、目的のモノを取り寄せます。



     コトン



 取り寄せと言ってもほんの一瞬です。

 開封シーンもありません。

 領収書も送り状も、ゴミ箱に直行するチラシも入っていません。

 それに、態度の悪い○ャパンポストの人が商品を持ってこないので清々します。

 なんで、ああも、人がコロコロ代わるんですかねぇ?


 あっと、話がそれました。


 取り寄せした黄金色の聖水・・・って、違います。

 いえ、黄金色は黄金色ですけど、違うんです。

 そんな特殊なモノじゃなく普通のモノですよ。

 鉄板焼きの縁に置かれた極々普通の黄金色の液体が入ったビンのフタを外します。


 あっいい匂い・・・。


 シンは匂いに気付いたようです。

 甘い匂いに隠れた匂いに・・・。


「お嬢・・・これ、お酒か? 懐かしいなぁ。天界じゃ、もう売ってねぇんだよ。何から何まで無くせば良いってもんじゃねぇだろう。酔っ払いが危険だって事で売られなくなったんだぜ。酔っ払いが犯罪を犯した件数より、テレビを見て犯罪を犯したヤツのが多いだろ。と言うか、犯罪のほとんどが天使学校に通ったヤツだろうに。ああ、すまねぇ、ちょいグチになっちまった。だからよぉ、今じゃ、運良く、お神酒として奉納されたら手に入るって代物だ。ティコアやクリスは見た事も飲んだことねぇだろ?」


「うん」

「はい」


 ティコアとクリスは、興味津々です。

 そんなに前屈みなると、ボクも前屈みになっちゃいます。

 2人の浴衣の襟の隙間からアヴァロンが垣間見えます。

 そして、それぞれのなだらかな双丘の天辺には計4本の選定の剣カリバーンが・・・って、違います。

 見えるのはさっきまで堪の・・・。


「カルキは・・・何、隠れてんだ?」


 シンの不意のセリフで正気に戻りました。

 もうちょっとで前屈みになるとこでした。


「お酒は、怖いものと聞いておるのじゃ。飲んだら最後、首をハネられるのじゃ」


 龍とお酒はいろいろなところで言い伝えがありますね。

 やまたのおろちとか・・・。


「じゃあ、カルキは、いらねぇっと。分け前が増えるぜ」


 シンはニコニコ顔です。

 悪気とか全くなく、本当に嬉しそうです。


「ヤなのじゃ。みんなと一緒に呑んでみたいのじゃ・・・でも、怖いのじゃ。ご主人様ぁ、カルキの首がハネられないように守って欲しいのじゃ」


 なんですか?

 この保護欲をかき立てる生き物は?


 龍です。

 白龍です。

 パルダリウムの守護者だった白龍王です。

 普通なら、パルダリウムの中で一番強い生体です。


 それが、保護欲をかき立てるとは、やっぱり見た目とセリフは大事ですね。


「大丈夫ですよ。結界を張ってあるので、ここにはダレも入って来れません。それに、首をハネそうなのは、シンくらいですので・・・、なんなら、先にヤっておきます?」


 腰の短剣に手を添えてシンに笑顔を見せました。


「わ、悪かった。悪かった。ちょっと欲に目が眩んだんだ。本当にすまねぇ。お嬢もカルキも、本当にすまなかった」


 シンは、鉄板焼きの縁に手をついて頭を下げました。

 学習してます。

 よっぽど熱かったんでしょう。


「シン、頭をあげて下さい。ボクも意地悪でした。この程度のお酒ならいくらでも出せますからね。今夜は、無礼講で騒ぎましょう。ほら、マナもね」


「はい。お嬢様」


「お嬢・・・一生ついて行くぜ」


 この世界と言うか、パルダリウムに来て、初めての騒がしい夜を過ごしました。



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