081.おとなげない
「お嬢が気にするこたぁない。こんな美味いもん食えなかった方が、残念だ。ただ、常宿で食事が出来なくなったな・・・。お嬢、お嬢さえ良ければ、食材を狩ってくるのと調理代も払う、後、宿代も払う。だから、ここに置いてくれねぇか? いや、置いてくれ、頼む」
シンは、焼けた鉄板の上に手を置いて頭を下げました。
額を鉄板にぴったりくっつけてはいませんが、さすが、中の人は神か天使か分かりませんが、気合いの入り方が違います。
そうです。
誠意さえあれば焼けた鉄板なんて熱くないんです。
ジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
お肉の焼けたいい匂いがします。
ライオンは、食べた事がないですが、どんな味がするんでしょう?
「アァァァァァァッチィィィィィィィィ」
気合いの入れ方が足りなかったようです。
【神の加護:キャスト時間:0秒】
【回復魔法:単体回復:レベル7】
火傷をしたようなので、治しておきます。
【神の加護】は便利です。
「お、お嬢、すまねぇ」
床にしゃがみ込んで、ボクを見上げながら、頭を下げました。
「姉御ぉ、私からもお願い。苦痛でしかなかった食事が、こんなに楽しいのだとは思わなかった。だから・・・、ねぇダメ?」
シンの手をさすりながら、そうティコアが言ってきました。
なんか、2人近くにいるだけで、火傷しそうですよ。
まぁ、冗談です。
顔を真っ赤にしてるシンとティコアが初々しいです。
「ボクは、このパルダリウムの人口を増やさないといけないから、構わないんだけど・・・」
チラッと、影の番長にお伺いをたてます。
「マスターがしたいようにすればいいと思うよ」
ツーンとそっぽを向いて、シンやティコアのように顔を真っ赤にしています。
「じゃあ、シン、ティコア、これからもよろ・・・」
クイックイッと、クリスが袖を引っ張ってきました。
「宿泊客がいて大変そうだから、あたいは、宿屋のお手伝いをするね。だから、ここに置いて」
『これくらいの宿屋なら、ひとりでも大丈夫です』と言いかけたマナを威嚇しつつ言いたいことを言い切りました。
精神的に大人気ない駄天使です。
物質的にも大人毛なかったですけど・・・。
「もちろんですよ。クリス。カルキは、今まで通り、マナもシンもティコアもこれから、よろしくね」
広い宿屋が、少し埋まりました。
人口も3倍です。
ほんの少しですが、前に進んだような気がします。




