066.理想の天使
「お嬢、このエクスカリバー貰って良いのか?」
ライオンと言うか、捨てられたダンボール箱に入った子犬のような目で訴えて来ました。
「別に良いですよ」
あっさりと返事をしました。
エクスカリバーなんて興味がないですし、持っていてもボクには使い道がありません。
アイテム収納の中で死蔵するだけですよ。
欲しい人にあげた方が役に立ちます。
ですから、生体を見に行く途中で見つけた武器コーナーで、シンたちに、好きなのを選んで持って行って良いと提案したのです。
2人とも武器コーナーに寄りたそうな顔をしてましたからね。
シンは、その中でも一番高いのを選んだんです。
「おお、ありがてぇ~。このエクスカリバーは、ドロップ率が悪くてなかなか取れなかったんだ。ドロップ率を上げるために馬鹿みたいに課金するか、高ぇ金出してエクスカリバーを買っても良かったんだが、負けたような気分になるからな・・・。ほんと、お嬢、一生付いてくぜ」
尻尾を振れって言ってら、振りそうなくらい喜んでいます。
エクスカリバーを抱きながら、床ゴロまで始めました。
「私は、この干将莫耶貰っても良い?」
ティコアは、そこそこの値段の二刀セットです。
シンと同じで、地球の神具特集コーナーから選んでいます。
天界では、地球文化が人気があるようです。
「もちろん、良いですよ~」
「姉御、ありがとー」
ギュッと抱き付いて来ました。
良い香りです。
クリスは、ムッとしてます。
いきなり機嫌が悪くなりました。
よく分かんない駄天使です。
「あたいは、マスターと同じ武器が良い」
そう言って、ボクの腰の短剣を指差しました。
目ざといです。
ここにある武器で一番性能が良いのは、今、ボクが持っている『神珍鉄の短剣』なのです。
【神の加護】として貰える武器のひとつですからね。
そして、今では【土魔法】で大量生産出来るので、ありがたみが無いですが、でも、性能はずば抜けています。
「分かった。じゃあ、クリス、これを・・・」
アイテム収納から、予備のエンシェントドラゴンの革のケース入った神珍鉄の短剣を2つと神珍鉄の指輪を2つ取り出して、クリスに差し出しました。
「ありがとう」
クリスは、先に短剣2つを取り、腰に差しました。
そして、手の甲を上にして、両手をボクの方に伸ばしました。
「ん」
顔を真っ赤にしながら、指輪とボクを交互に見ています。
あーあれです。
ボクに指輪をはめろってヤツですね。
「はいはい。お姫さま、これでよろしいですか?」
中指にはめてあげました。
「・・・ありがと」
まるで天使のような微笑みです。
実際、天使ですけど・・・一瞬だけ、駄天使ではなく、理想の天使ように見えました。
本当に一瞬だけですけど・・・。
手をクルクルと回して、指輪を見ています。
そんなに嬉しいんですかねぇ?
「カルキはどうする?」
武器には、興味なさそうにうろちょろしているカルキ聞いてみました。
「妾は、ご褒美プリンが良いのじゃ。ご褒美プリンを所望するのじゃ。・・・ご主人様、ダメか?」
「全然、構わないよ。はいどうぞ」
アイテム収納から取り出して、渡しました。
プリンの在庫が減らないです。
いや、減ってはいるんですけど、誤差としか思えないくらいしか減っていません。
誰ですか?
こんなにプリンを作った人は・・・。
「ありがとなのじゃ」
クリスより、理想の天使っぽい笑顔です。




