045.ザッパァァァァァァァァァァァァァァァァン
「お待たせしました」
シンに軽くお辞儀をして、短剣は2本とも腰に差したまま、構えます。
装備も最安値の安物になったので、あからさまに弱そうです。
「そんな装備でいいのか? それに武器を抜かなくても良いのか?」
欲望で暴走していたシンではなく、真面目なシンです。
この状態なら話が通じそうです。
「無手の方が手加減し易いし、強いですからね」
言葉の通りです。
ナイフで手加減って、どうするんですか?
怪我をしないようにするんだったらナイフは不要ですし、斬りつけて怪我をさせる?
心のリミッターがかかって、たぶん出来ないです。
素手で【乙女流】を使った方が、慣れていて安心です。
獣人とは、戦った事はありませんですけどね。
と言うか、さっきから気になっているんですが・・・。
パルダリウムの外から、たくさん見ているのでしょう。
そのため、視界の右上にある所持金がどんどん増えています。
これは良い事なんです。
パルダリウム自体は、注目されているんです。
でも、それが、観光客や住人の増加に繋がっていないんです。
きっかけがあれば・・・。
この戦闘がきっかけになってくれれば良いんですが・・・。
そんなに都合のいいことはないですよね。
頭の中で首を振ります。
「では、始めましょうか」
ライオンとライオンの獣人、どっちが強いのでしょう?
個人的には、【乙女流】が通じやすいライオンの獣人方が戦いやすいです。
キュッ、キュッっと、少しずつ立ち位置を変えて、シンが打ち込むチャンスを狙っています。
鳴砂なので、砂の中の石英が擦れて、心地良い音が聞こえます。
シンは、両手剣を垂直に構え、まるで、野太刀自顕流の構えのようです。
初太刀に全てを賭けて、ボクを斬り伏せようとしてるんでしょうか?
って、斬り伏せられたら、死んじゃうんですけど。
この状況で、シンが勝負に勝つと、『俺の女になれ』って部分が守れないですよ。
まぁ、元々、男なんで、守れないんですけどね。
ザッパァァァァァァァァァァァァァァァァン
「ただいまなのじゃ」
タイミングが良いのか悪いのか、シンが動こうとする時に、漁からカルキが戻ってきました。
シンの出鼻がくじかれた感じです。




