039.ゲートまでの道
立ち止まったあたいに気付いたシンが振り返った。
震える足でシンを見た。
「嬢ちゃん、どうしたんだ? ああ、周りの声か? さっき言ったように、嬢ちゃんを喰いやしねぇよ。え、そっちの喰うと思ってたのか。安心しな。どっちの意味でも、嬢ちゃんを喰いやしねぇよ。今、俺が喰おうと思ってんのは、アイツだ! 白龍王カルキを餌付けして勝利したアイツだ」
そう言って、ディスプレイに映ったあたいの生体を指差した。
そっちを喰われても困るんですけど・・・。
「まじかよ」
「俺たちの天使が慰み者に」
「天使は俺たちだろう!」
「お前は天使かもしれんが、オレは天使じゃねえ、1級神だ」
「1級神がこんな所で何してんだよ。仕事しろよ」
「別にいいだろう。プライベートの時間をどう使おうと」
「今は、そんな事はいい。シンだ。あの娘が、シンに喰われないようにしなくちゃいけねぇ」
こそこそとしていたギャラリーがシンの前に立ちふさがった。
「シン、俺たちの天使・・・いや、アイドルには手を出すなんて、許せねえ。絶対に許せねえ」
『そうだ。そうだ』とギャラリーのギャラリーが騒いだ。
「俺たちは、清純なあの娘を、遠くで見守っているだけで充分なんだよ。シンのお手つきにはさせねえ」
「アイドルとして、遠くで見守る? 違うな。おめぇらは、あの生体に興味があるが、怖いんだろう。だから、パルダリウムにダイブ出来ずに、遠くからしか見る事しか出来ねぇ。それで、ロビーで彷徨いてんだろう。それに、許せねぇじゃねえだろ? ただただ、羨ましいだけだろ? 恐れずにダイブしようとしている俺に。いや、俺たちか?」
シンがあたいの両肩に手を置いた。
「こんな嬢ちゃんでも、ダイブしようとしてるんだぜ。これだけのアヴァターラが、怖くてダイブ出来なくてうろちょろしてる中でな。さぁ、どきな。ダイブするのに邪魔だ」
一呼吸置いて、シンは言葉を繋いだ。
「どけっ」
迫力ある一言にギャラリーが2つに別れた。
そして、ゲートまでの道が出来た。




