第六話
残った時間をどう使うか悩んでいたら、
「一戦交えようぜ!
とリズ先生は言ってきたので、今部屋に引きこもっています。
「お~い訓練しようぜ!」
「いやですよ!さっき痛い思いしたばかりなんですから!」
「暗殺者志望がへこたれるな!」
今まで先生をせき止めていた扉が破られる。
と、扉先輩!ってか先生寮の備品を壊さないで!
「ほら行くぞ、私午前はいなかったしな、今後のためにも私はお前の性格を知っておきたいからな。五分後に表に集合!完全装備で来いよ、私もお前を殺せる装備で行くからな!」
そういい残して先生は装備を取りに戻ったのだろう、さっそうと去っていった。
ため息しか出てこない。入学一日目で先生二人と訓練。しかもガチ装備。俺はゆっくりとおやじさんからもらった装備を見る。フル装備って言われたし着ていこう。武器は投げナイフ全本と直剣と魔銃。一応魔銃だけは隠しておこう。
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「ちゃんと来たな!」
先生は今までの服とは違ったものを着ていた。俺と似たような格好だった。黒をメインにした服で、いたる所にポーチや物を入れれるカバンがぶら下がっている。動くたびに鉄が擦れてぶつかり、音が鳴っている。あのコートの下やカバンの中には何が入っているのか、知りたくもないな。
「なんで、またフィー先生とブルームさんがいるんですか?」
「万が一だ!」
また痛い目を見るの俺!?
覚悟はしていたけど大怪我をするのか俺は。
「それじゃ始めようか」
ぐらり、と先生の姿が崩れた。
これは!?
「もーらい」
後ろに先生がいた。俺がグライン先生と戦ったときにやった技だ。しかも早い。
すぐに体をひねり剣撃をよけるが先生はすぐに剣を持ち変え上から俺を突き刺し地面に貼り付けにする。
「ひぃぃぃいいいいい!?」
遠くでブルームさんが叫んだのがわかった。
「あっけないね」
「まだです」
先生の後ろから今度は俺が切りかかる。
俺の直剣が先生を捕らえるがすぐによこから剣をいれられはじかれる。危なかった、本当に遅かったらもう一度重症になるところだった。
「フェイクか」
「その通りです」
「うむ暗殺者にとっては必要な魔法だね。上等上等」
結構汗かいた。
もうやだ。あんな一瞬で後ろに回って斬りかかってくる人。人のこと言えないけど、なにこの人。あんなに美人なのに恐ろしいぞ。
左手を前に出し右手で直剣を逆手に持つ。朝にも披露した構えである。魔法を使い体の強化をする。魔法を使い終わったら左手でナイフを持つ。
「いきます!」
全力で走り直剣をそのまま突き出す、リズ先生はそれを素手でそらす。俺は間髪いれずに左手で握っているナイフで左から切りかかる。それを見切っていたかのようにしゃがんでかわし、腹に一発殴られるが堪えて何とか左ひざで先生を蹴り後ろに飛び距離をとる。
「おいおい女性の顔を蹴るだなんてひどいな!」
「先生の美人顔を蹴りたくて蹴ったわけではないですよ」
「こんな顔でも美人と言ってくれるとは嬉しいな」
そんなことを言いながらも先生はゆっくりとこちらに歩いてきている。
ここで決めるか、それよりできるのか。今の俺ができるかどうかわからないが試してみるしかないな。先生に気づかれないようにゆっくりと気づかれないように右手を腰に吊るしてある銃に手をかける。
「?」
先生は俺が何かするのはわかるだろうが、わからないだろう。
今やるか!
加速魔法で限界まで体の速度を上げる、魔銃を引き抜き先生を狙い撃つ。いわゆる早撃ち。
「っ」
避けたぞあの人!?
魔銃の魔法で作った弾を避けるだなんてそんな人外じみたことができるだなんて。
「驚いたそんなものをもっているだなんてな。ちょっと油断した」
魔弾が先生の頬を掠ったのか、血が出ているのがわかった。先生は下で血をなめると、
「私も本気をだすか!」
その声を聞いた瞬間先生の顔がアップになった感じだった。
いや先生は一瞬で間合いをつめたのだった。
「ほれ」
そう言うと先生はコートの袖から約十本ほどの剣を出し、俺を貫いた。
どこにそんな武器を隠していたのか、それよりどうやってあの距離を一瞬で詰めたのか。聞きたいことはいっぽいあったが今は黙ってリズ先生に倒れこむことにした。