第五話
ゆっくりと目を開ける。
日差しが目にささる感覚が余計に目を覚ます。
「いってぇ……」
「あ、お、お起きましたか?」
びくびくしながら少女が顔を覗き込んでくる。確か戦治癒士志望のブルームさんだったっかな。俺は木の下で寝ころんでいた、というか寝かされていた。
「今先生呼んできますからね!」
そいう言うとブルームさんはどこかへと走り去って行った。
聞いた所によると先生がちょっと本気出して魔力込めた剣で振ったらそのまま直撃したらしい。それをくらった俺は結構死亡一歩手前だったらしい。フィー先生が急いで手当してくれたので大事には至らなかったらしい。
「大丈夫?傷はもう塞がっていると思うけど何かあったらすぐに言ってね?」
「し、死ぬ、これ以上やられたら……俺、し、死んじゃう」
場所は校舎内の講義室。
戻るとフぃー先生がグライン先生の首をがっちりと閉めていた。やめてあげて、本当に死んでしまうから。いや何が「死んでも大丈夫私が蘇生してあげる!」だよ。
そんな人の生死をもてあそばないで。
「もういいかな?」
「やばかった……あとちょっとで死んだお袋と再会するところだった……」
グライン先生……
「さっきはすまなかったな!」
後ろに鬼の形相をしたリズ先生が……
「いやぁ次からは気をつk」
「いっぺん死ね」
ザクリ☆
「いいいいいいやああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「本当に刺した!?」
ブルームさんが叫び白目をむいて後ろに倒れた。
グライン先生は頭から血を流しながら立っている。
「ってリズ先生!」
「おうよ。今日はごめんね?本当は一緒に訓練する予定だったんだけど、急に仕事が、ね?」
「それは大丈夫ですけど、本当に死にますよ!?」
「死ぬ?何いってんの?聖騎士があの程度で死ぬわけないでしょ?」
「えっ!?」
今度はフランクが声を上げた。
そりゃぁ驚くだろう。自分の将来が背後から頭を刺されてもケロッとしている人間だんなんて、親御さんが見たらどう思うか。
「はっはっはー!いやぁ~いつの間に後ろにいたんだ?」
『ピンピンしてるぅぅぅうううううううう!?!?』
おいこの人本当に人間か!?今なら人間じゃなくても許すから、認めるから!目指す先がこの人ランクの人たちとか、おかしすぎるでしょ!?人って頭を刺されたら死ぬでしょ!
「それは普通の話だ」
そんな普通の話が、常識通じないなんて。
「いいから講義始めるぞ」
断罪者のリンク先生の一言で教室は静まり返った。
■■■
「今回知りたかったのはお前らの戦闘力てきな奴だ」
「全員と一戦やったんですか?」
「お前が寝ている間にな」
先生は話を続けた。
「お前ら全員の能力や実力はおおまかにわかった。正直先生たちは驚いている、ってか一年目の基礎いらねぇんじゃねぇのかって思えるぐらいだ。しかし一応授業上やらないといけないからやるぞ。俺たち特化生は単独で国の軍事力や戦況を左右できるほどの実力を持たなければいけない。必要なのは単独での戦闘力、そしてチームプレイだ」
「単独で強かったら……チームいらないと思います」
珍しく口を開いた志望未定のフィアリスさん。あいかわらずマフラーで顔の下半分が見えない。
「確かに一人で魔物の巣をつぶすなんて楽勝になるが、それでも他者との連携は重要になってくる。まず一年目はお前らの志望職に合わせて、各職業の先生から教えてもらえ。二年目からは職業にあわせてのチーム内での立ち回りや戦闘を学んでもらう。三年目は、実習ばかりだろう。先のことを話しても意味がないので、一年目の話をするぞ」
グリアン先生は紙を配っていく。紙には一年目のスケジュールやイベントや食堂の予定表が書いてあった。
「まず日常関係から話していくぞ。基本的に飯は6時から8時の間に食え。何かしら遅れる理由があるときは前もって言うように。飯は日替わりだぞ、基本的にリンクが作ってくれるから感謝するように。一週間のうち土曜日と日曜日だけは町に行けるようになっている。もし服とか必要になった場合、近くにある町に行って来い。あたりまえだが外出届けを出せよ。地図は後で見るようにな。以上、何か質問はあるか?」
「夜間での訓練などはいいのでしょうか?」
「いい質問だリーナ。基本的に許しているが、何かあっても俺たちは責任をとらないからな。自分たちで節度を守ってやれよ」
なんとも自由というか放牧主義な学校なのだ。
普通はもっとあるだろルールが、たとえば夜は男子と女子は寮の行き来をしてはいけないとかあるだろ。
「それでは今日は早いが終わりだ!確固自由に過ごすように」
実は料理が得意な、断罪者の先生リンク。