第二話
先生のイメージはメルブラのリーズてきな人です。
「暗殺者志望なんだって?ってことは私の弟子的な立場になるのか」
自己紹介が終わり次第いきなり話しかけてきた、暗殺者のリズ・サイス先生。
「そうですね。よろしくお願いします」
「いやいや。お願いするのはこっちだよ。今時暗殺者なんて知っていて選ぶ酔狂な奴いないからね。どちかって言うと居てくれて嬉しいよ」
本当にこの人暗殺者か?
なんだか近所のお姉さんみたいになっているけど。
「まぁ今日は特に授業とかないし、本格的にやるのは明日からだし」
「明日……」
明日は移動である。
どこに行くかというと、本当の校舎である。この部屋はただの集合地点で本物の校舎はずっと遠くの山なかにあるらしい。そこまでは転移魔法で移動するらしい。
「すごい田舎って聞いたんですけど」
「まぁルクサリオと比べたら、田舎かな?でも近くに町もあるし不便ってほどじゃないからそこは安心しな。でもここでしか手に入らないものもあるからな。そいうのは買っておくべきだぞ」
「わかりました」
■■■
買い物といっても買うものなんて何一つない。
武器はもう揃えてあるし、衣類だってそんなに必要ない。
え?挨拶まわり?親族なんて誰もいませんからね。
「さてどうするかね」
なんか食べ物でも買っていくか。
町を歩くと俺と違った制服に身を包んだ人たちとすれ違う。騎士養成学校と魔法学園の生徒である。俺と同じ年齢だがここまで進む道が違うのか。こいつらには今から平和で楽しい学園生活が待っているのだろうが、俺はその正反対だ。進むのは苦しいいばらの道だ。
そういえば最近魔法学園の新入生に天才が現れたてきな噂をきいたことがあるな。
「関係ない話だけどな」
歩くこと数分。
ここはルクサリオ魔法店。この街の中で一番大きく有名な店。武器から魔法薬の材料、制作するときの材料から何まで売っている。店員は娘のコンスタンティン・ドープと彼のおやじさんである。
「……何かようでしょうか?」
俺はこのコンスタンティン(通称コンちゃん)に嫌われている。
理由は気持ち悪いとか不気味だからである。
「おやじさんいる?」
「いないんで、早く帰ってください」
「おいコンよ、お客様にそんなこと言うんじゃねぇよ」
後ろの方から大柄な男性が出てきてコンちゃんの頭を軽くコツンと叩く。
おやじさん、名前は知らないがお客さんもみんなこの人のことをおやじさんと呼ぶ。ちなみにルクサリオ一の魔法具や装備のクリエイターだったりする。
「しばらくルクサリオを離れるんで」
「……そうか。合格おめでとう」
おやじさんは何も言わずに祝ってくれた。
何を隠そうか、彼は特化生の卒業生なのである。職は創作者。
「うん、約束どおりもらいに来たよ」
「まさか本当に合格するとはな。ほらよ持って行け」
渡されたのはおやじさん特製の武具。
実はこの見習い生に装備の制限はない。制服は必要だがその下や上に何を着てもいいのだ。今回おやじさんと約束したのは、俺がもし合格したら特別な物を作ってくれるということだ。
「準備してあっただなんて」
「お前が合格するのはわかっていたさ。さっさと確認しろ」
カバンを開ける。
中にはコートやズボン、カスタマイズできるようにベルトやポーチも入っている。特筆すべき場所はポケットの多さと質の良さである。ぱっと見ただけでも何重にも魔法が服にかけられているのがわかる。これを買ったらいくらするのだろうか。
「こっちが武器だ」
まだあるのか。
渡されたカバンを見るとこっちは武器が入っていた、ナイフが六本、剣が一本、そして銃が二丁。
「っ!?」
さすがの俺でも驚いた。
魔法銃、巷では魔銃とか言われている。火薬で鉄の弾を撃ちだす銃を、魔法で弾を形成し撃つ機械にかえたものである。魔力さえあれば無限に撃てるので便利なものだが俺が知っている限りではまだ試作段階だったような。
訊いてみたら、
「試作段階?あの時代遅れ共め。やっと作り出したのか。わしは五年前には完成品を作ったぞ」
さいですか。
さすが創作者、人外じみている。
「ありがたくいただきます」
「おう持ってけ。正直そんなもの使い物になるかどうか疑わしいがな」
「やっぱり脱見習いは難しいですか」
「いや最終的には全員合格できるが生き残っていたらの話だな。俺が見習いの時、聖騎士が無茶をして死んだ」
「訓練中にですか?」
「まぁ訓練だな。ギルドが指定したAランクの魔物をやりにいったんだが、一人死んだ。どうやらそんなの普通らしいがな」
「……そうですか。気を付けます」
「なにこんな良い物やったんだ。簡単に死ぬなよ」
そう言い残しおやじさんは店の奥の方に戻っていった。
俺は黙って頭を下げ、先輩である彼に敬意を表しお辞儀した。
■■■
かばんをまとめて持つ。
衣類や世界必需品が入ったトランク一つと装備をまとめたものが一つ。
集合場所はルクサリオ魔法学園。
どうやらここには転移用の魔法人があるらしく、それを作るプロもいるのである。なのでその人に頼み転移陣を作ってもらっているそうだ。
女性陣は荷物が多いが一人だけ、やたらと少ないやつがいる。日帰りじゃないんだぞと言いたくなるが、本人は選んできているのである。口出しは無用だろう。
「よっしゃ全員そろったな」
『はい!』
「そんなかしこまらなくてもいいよ。気楽にいこうぜ」
昨日よりもっとだらしなくなったグライン先生を見る。
「それじゃあ歩くぞ。魔法学園の生徒に迷惑をかけないようにな」
俺はそう言われて先生の後をついていく。
すれ違う生徒から注目された。さすがに見慣れない制服を見たら驚くだろうが、何より俺たちの前にいる人を見て驚くことのほうが多い。俺たちが見習い生だと気付いたら周りの人たちも驚くだろう。
扉を開けると大きな空き教室の真ん中に大きな転移陣が書いてった周りには先生たちも立っていた。
「全員魔法陣の中に入れ。荷物は持っていても構わないぞ」
すぐに言われた通りに陣の中に入る。
「始めるか?」
「頼む」
あの人は、たしかリラ・イーターか。そんな、なんでこんなヤバイ人がここにいるんだよ。ちょっとした有名人を見てしまいおどろく。
「よっしゃ行くぞ」
リラ・イーターは煙草をすりつぶし詠唱を始める。
すると足元にある魔法陣がゆっくりと光だし回転する。
「それじゃあ頑張れよ、見習い特化生諸君。生きて帰ってくるんだぞ」
詠唱を終えたリラ・イーターが赤紙を揺らしながら言う。
これから大変だろうが、頑張ろう。
俺が生きられる世界は狭いのだから。
さらばルクサリオ。
こんにちは汚れた世界。




