第十四話
「やっほー!」
「うっわ」
俺はベッドから転げ落ちる。
体を起こし見ると、先生がにまにまと笑っていた。
「はははは!驚いたか?」
「かなり驚きました」
着替えて宿を出る、もちろん着替えは交互に済ませた。
今日は森の中に入ってみることにした。
しかし大きな森である。
入ってみればわかるが、木々が高く下手をすれば迷いそうである。村の人から地図とお昼ご飯をもらい森の中に入ったが、地図なんて使い物になりそうにない。俺には分からないが先生には分かるようで、このまま真っすぐ行ったら魔物がすみつきそうな場所に行きつくらしい。
「よしリュウ」
「はい」
「これからはお前一人でやってみろ」
「はい?」
森の奥の方に来たころだった。先生が唐突にそう言ったのだ。
「私がいると即効で遂行しちゃうしな。何問題ない遠くから見ているさ」
「え、本気ですか!?」
「本気と書いてマジと読む。それじゃあね」
先生はニコリと笑い手を振ると木々を手を使わずに上り何処かへと走り去って行った。
俺は驚いた、しかし先生の言うとおりにすべきなのだろう。ここはもう森の奥の方だし後のは戻れない。仕方ない、前に進むしかないだろう。
歩くこと数分、いきなり魔物に遭遇した。
「グルルルル……」
「わーお、ドレッドウルフだ~」
あまりの驚きに一瞬放心状態になった。ドレッドウルフBランクの魔物。強い、非常に強い。そのあごの力は強く、噛まれたら引きちぎられるか砕かれるだろう。その巨体なオオカミは明らかにこちらを見ている。歯をぎらつかせ、目が血走っている。俺を食うつもりか。必然的に手が直剣のつかに触れる。
狼は飛びかかってきた、恐らく速いのだろう。しかし俺には止まって見える。性格的には止まってはいないのだろう。ゆっくりと動いている。俺はゆっくりと動いている世界の中で剣をできるだけ早く抜き狼の首を切り落とす。世界は元に戻り狼の体と頭だけが簿取りと落ちる。
「ふぅ~……」
息を吐き出し剣を納める。
さっきの技は俺の先祖が作ったらしい術である。自分だけ倍速で動く技である。倍にして動かせるのは体だけでなく意識や思考もである。速く動くと周りが遅く見えるのだ、そこで加速した自分だけが技を先に出せる。最強の後だしジャンケンである。俺はこの技があまりのも強く負担がかかる為普段は使用しない。しかしこの依頼の中では手を抜いたり、本気で行かなければ死んでしまうだろう。
草まで生い茂ってきた。人がここまで来ていないのがよくわかる。歩くのには対して邪魔になってはいない。しかし太陽をみると日も落ちそうである。今日はどうしたらいいのか、このまま帰ってもいいのか。俺としては早く依頼を達成したいのだが、いかんせん暗くなっては前も見えづらくなってくるだろうし戦う事にでもなったりすればこちら側が圧倒的に不利である。
「帰ったらだめだよ?」
ゆっくりと後ろを振り返ると、先生だった。
「……先生、俺に死ねって言うんですか?」
「バカか。死なせはしないよ」
ならば帰らせてください。
先生曰く、このまま帰ったら訓練にならないし、サバイバルは必須スキルである。ここに残って調査を続けろだとさ。
そんな無茶な、と思ったが案外無理ではない感じがしてきた。先生がテントなどの備品を一式持ってきてくれたのである。テントを張ってそれを中心に魔物が入ってこれないように罠を仕掛ければ安全なはずだ。
「それじゃあね」
そう言って先生はまたどっかに飛んで行った。
すぐにテントを広げてたてる。
今日はここで寝る。罠をテントの周りに張り、寝袋に入る。
できれば明日に依頼を終わらせよう。




