第十二話
転移をして街の外側に転移する。
ちょっと気分が悪くなるが吐くほどではない。どうやらここは街の城壁の外側、草原の上に俺とリズ先生は立っていた。城壁には門がありそこには門番がいた。
どうやら街の中には転移できないようになっているらしい。街の内部には転移魔法を阻害する装置があるらしくそれにより転移ができないようになっているらしい。
「ほれ行くぞ」
先生に背中を叩かれて立ち上がる。
草原を歩き門の前にたどり着く。先生は身元の証明書を出しすぐに門を開けてもらう。先生の顔と証明書を見た瞬間門番の人が焦っていたんですけど、先生何かしましたか。あんなびびりかた見たことがないですよ。
門が開くとそこは綺麗な石造りの街だった。学校の近くにある町よりも大きくて活気があった。通りには人がおり露店が数多く並んでいた。上を見ると建物からは様々な看板がぶら下げられている。
「ほれ行くぞ」
俺は新しい街に目をきらきらさせながら歩いていく。今まで生まれてからルクサリオ以外の大きな都市を見たことがなかった。ルクサリオと比べたちょっとだけ小さいが、それでも普通の街と比べると大きい。この規模はどちらかというと街というより都市である。ギルドに到着するまで様々な露店が並んでいて興味が惹かれるようなものもあったが、今日は遊びに来たのではないのだ。俺は本来の目的を思い出し気を引き締める。
先生の後をついていくこと数分、俺と先生はギルドに到着した。
「カードはもってるよな?」
「はい、ってかなんで知ってるんですか」
「名簿から調べてもらっただけさ」
あれおかしいな。ギルドって個人情報とかは厳しく管理していたはずだけど。俺は自分のギルドカードを見る。このカードは言うところのメンバーズカードである。これがないと依頼を受けれないし、身元証明にもならない。俺は依頼云々より自分の証明書として欲しかったからギルドに加入したんだけどな。一応生活費に困らない程度に依頼はこなしていたし、いつの間にかランクも上がっていた。
先生と共にギルドの扉を押して入る。中は酒場のようになっていて、端のほうにはランク別に分けてボードに張ってある依頼がある。中央あたりは机やイスが置いてありそこには冒険者や様々な人が座って騒いでいた。
「ここも変わんないな」
「ここに来たことがあるんですか?」
「昔ここを拠点にしてたことがあってね、お世話になったのさ」
そう言って先生はずかずかとギルドの真ん中を歩いて受付へと進む。
「よ、受付嬢さん」
「うわ!リ、リズ様でしたか」
うわってなんだよ。先生いろいろと何かやらかしたでしょ、ギルド内を歩いただけどこれほど視線を集めるだなんて、普通の人ではありえないよ。あ、この人暗殺者だったな普通じゃないわ。
「うちの弟子連れて来たからね」
「あ、どうも。ここのギルドの受付嬢のリリスといいます」
「ご丁寧のどうも。先生の弟子のリュウィル・スウェーンと申します。名前が長いのでリュウと呼んでください」
丁寧に挨拶する。
受付嬢のリリスさんはかなり美人で笑顔が美しかった。まさに看板娘といった感じだった。リリスさんから一通り説明を受ける。ここのギルドではかなり自由度が高く、ルールもちょっとゆるいらしい。しかしどこのギルドもそうである。ここのギルドの特徴は高難易度の依頼を受けれることである。先生はそれ目当てで俺を連れて来たらしい。
「じゃあこのAランクの魔物掃討で」
「り、リズ様。リズ様はランク上受けれますがそちらのリュウ様はランクが足りないと思うのですが」
「大丈夫だよ、一応Bランクだよな?」
「はい」
しかしAランクなど突如受けれるのか。
「そういえば特科生でしたね。ならば特別に許可します」
え!?いいの!?
依頼にはEからD、C、B、A、SとなっておりSが一番高い。なのでAランクの依頼となれば難易度はそれ相応の物になってくるはずだ。魔物との戦闘となれば生死もかかわってくる。いきなりAランク、不安しかない。
「大丈夫だって場何かあれば私が助けてあげるから!」
すげぇ心強いです。
「これで手続きが終わりました、ご武運を」
受付嬢さん、そんな暗い顔しないでください。
マジで死ぬかもしれないんですか、俺?
次回は依頼遂行回。




