第十一話
また短いです。
夏がもうすぐ終わるかどうかと言ったところだった。
しかしまだ暑い。
最近の授業は一般常識や教養から戦闘訓練まで幅がかなり広くなってきた。暗殺者志望の俺でさえも魔法の授業を受けさせられ最低限のことはできるようになっていた。最低限といってもここの最低限は世間一般で言う強者レベルである。しかし俺たちは強者とかいうランクで満足してはならない。ならば魔王や神といった領域に踏み込むのが普通である。
最近リズ先生を見かけない。なので一人で訓練をしたり、先生から読んでおけと言われた本を読んだりしていた。それ以外ではフランクとかと一緒に戦闘訓練をするぐらいだった。最近フランクはリーナさんとつるんでいるのでフィリアスと一緒にいる方が多い。
しかし今日は違った。
「何か用かしら?」
「いや何も」
今日はリーナさんが俺の前に座っていた。
「リーナさんどうして俺の前に?」
「食堂に誰もいないじゃない。あとさんづけはやめていただきたいわ」
「わかったよリーナ」
そう言ってリンク先生が作り置きしておいた朝食を口に入れる。リンク先生はフィリアスを連れてどこかへと行った。十中八九実戦だろう、フィリアスは戦闘慣れしているし人の死を見ても反応もしなかった。
「あれ?フランクは?」
俺は疑問に思いリーナに訊いた。いつもリーナはふらんくと一緒にいるので訊いたらわかるだろう。
「知らないわ。でも昨日の夜グライン先生とどこかへ行くと言っていたわ。彼も課外授業でしょうね」
「なるほど」
俺はそんな会話をしつつリンク先生お手製の朝食をいただく。
ここで俺は気になっていることを、勇気を振り絞って訊いてみることにした。
「ねぇリーナ」
「なに?」
「君はフランクと付き合っているの?」
「ぶふっ!」
リーナは口から何かを吹き出しむせだした。汚いよリーナ、君は女性なのにそんなことをしていいのかと言いたくなったが彼女が噴き出す原因を作ったのは俺なので何も言わなかった。
「違うわよ。どうしてそう思ったのよ」
「いや一緒にいることが多いなって」
理由はただそれだけである。
「私とフランクには何もないわよ」
「本当に?」
「本当に」
そう言って置いていたフォークを手に取り次々と口に放り込み食器を片づけて足場y内去って行ってしまった。もしかして照れ隠しかな。
食堂には俺一人になってしまったので、すぐに片づけて立ち去ることにした。
どうやら大半の生徒が出払っているそうで、校舎や宿舎にはほとんど人がいなかった。リズ先生帰ってこないのかな。あの人本当に自由人だし、最近校内でも見かけないし会ってもいない。一人でも自己練習だけである。俺も実習とかしたいものだ。
「ほんとに~?」
「わっ!!」
俺は後ろからの声に驚き飛び上がり距離をとる。聞こえたのは女性の声、久しぶりに訊いた声だった。
「リズ先生!」
「よ!少年元気だったかい?」
リズ先生だった。懐かしい感じがするのはなぜか。服装も髪形も変わっていないのにこの人の声を久しぶりにきいた感じがする。
「一仕事終えて金を稼いできたから今から実習だ!」
「い、今からですか?」
「そうそう。今からちょっと遠出して大きな街に言ってギルドに行って依頼を受けるよ。そこで魔物とかと戦って経験をつむよ!」
「急ですね」
あまりの急さに驚いている。
しかし準備しろと言われたので部屋に戻り荷物をまとめる。あまり着替えはいらないと言われ戦闘服で来いと言われたので、工房のおやじさんからもらった服と武器を装備して行く。かばんには武器のメンテナンス用の器具を入れ、他には一応替えの服を一枚だけ入れておく。
かばんを持って玄関に行く。
「準備できました」
「よしそれじゃあ行くぞ!」
先生はすぐにポケットから円盤の装置を取り出した。あれはたしかエドワード先生が持っていた転移装置と同じ物だ。ということは、
「いっくぞ!」
またいきなり転移である。
次回は師弟組の課外学習です




