第十話
今回は兵器回
といってもそんなにすごくないです。
「それで?」
「君に試してもらいたいんだよ!」
「どう考えても暗殺者の武器ではないと思うのですが……」
気温が高くなり、蒸し暑くなってきたこの頃。俺達特科生と先生たちは制服を夏物に交換し、食堂のメニューも一新された。最近リンク先生の食事のレパートリーが広すぎて驚いている。異国の料理もお手の物である、
「お願い!この通り!」
俺の前では手を合わせてお願いしているエドワード先生。彼はどうやら新兵器を開発したらしいのだが、話を聞くとどう考えても俺が待つべき武器ではないと思う。どっちかっていうとフランクとか聖騎士で重武装である彼が持つべきだと思う。
「でもこの前協力してくれるって言ったじゃないか!」
「うっ」
それを引き合いに出されると何も言えなくなるな。
「わかりました」
「それじゃあ今すぐにグラウンドにレッツゴー!!」
「ちょまt」
先生が取り出したのは小さな円盤状のものだった。その真ん中のボタンを押すと先生の足元を中心に魔法陣が広がる。その魔法陣は俺の足元にまど及んだ。
あ、これダメだわ、逃げられない。
「そ~れ!」
気付くとグラウンドの真ん中。俺は朝食を食べている途中だったので、お皿やフォークを持ったままである。そして右を見ると椅子に座ったままで驚いているフィリアスがいた。
「それでは発表しましょう」
先生はいつの間にか机を置いてその上に何かを置いているのがわかり、その上から白い布をかぶせているのがわかる。ってかフィリアス帰ってもいいんだぞ、そんな興味津津な目で見なくていいんだよ。
「それでは御開帳!」
勢いよく布を引く。
布の下にあるのはかなり大きなものだった。魔法銃のような引き金に、大きな円柱型の先が尖っているものが伸びている。
「なんですかコレは?」
「一撃必殺のロマン兵器だよ!」
そんな嬉々とした声で言われても、しかもすっごい笑顔。
「説明しよう!これはぞくに言うパイルバンカーである!大きな釘のような物の裏に火薬を仕込み打ち込む兵器だ。しかしそれでは回数が限られてしまう。そこで便利な魔法の出番だ。魔法を使って弾を再利用できるようにしたんだ!そして火薬を使わずに加速魔法を重ねて使うことにより速度を上げる、そして一撃必殺!!」
先生は拳を突き出すような動作をする。なるほど釘を打ちだすのか、たしかにあの大きさだったら中型の魔物でも貫けそうだな。関係ないがフィリアス、食べ物をくちゃくちゃするのやめてくれ気が散る。
「さぁさぁ使ってみて!」
しぶしぶそれを腕にはめてベルトや鉄の器具で固定した後持ち上げる。
「!?」
しかしその重さゆえ少々驚いたがすぐにふんばり体勢を元に戻す。予想以上に重いぞ、それに加えて大きく取り回しが悪い。他の武器など出せないだろう。魔法を使い体の能力を底上げする。こうでもしないと軽々持ち上げられない。
「それでは実際に撃ってみようか!的の人~!」
「俺、いつから的って名前に変わったんだろう」
「私の所為かな」
そこに現れたのは的と呼ばれて顔を手で覆っているフランクとそれを慰めているリーナさんだった。その後ろにはレインとブルームさん。回復要員ですねわかります。
「ん?回復要員?」
「イエス!最悪怪我します」
「ですよね~」
あ、あの治癒士、目が据わってやがる……!戦場をくぐりぬけて来た兵士の目をしてやがる。おかしいな俺ら全員同じ年齢なんだけどな、なんであんなにブルームさんだけ歴戦の勇士みたいな雰囲気かもしだしてるんだろう。
「先生とうとうできたんですね!対大型魔物兼攻城戦兵器!」
「ファッ!?」
今何て言ったこの優メガネ男子くんは!? 対大型魔物と攻城戦兵器だと、これが!?
俺は目を落とし巨大な釘打ち機を見る。確かにこれであれば城の一つや二つぐらい攻め落とせるだろう。しかし大型魔物はどうなのか疑問が残るが。それよろ後ろで一層ガタガタと震えているフランクが気になる。
「ほらほらなにくずくずしてるのやっちゃって!」
「は、はい。悪く思うなよフランク」
「おう……俺も今できる最堅の技をするぜ」
そう言いフランクは鎧を着てその上から鎧と自分自身に硬化魔法を重ねて使う。それを行った後全面に防御魔法を展開、しかもフランクの魔法ではなく戦魔士志望のリーナさんが作った魔法の盾だ。しかも一つではなく硬化魔法と同じく重ねている。
「うわぁ……」
ブルームさんの口からそんなため息がこぼれた。感嘆とかではなく驚きがまじっている、というかちょっと引き気味である。ガッチリとフルアーマーと言っても過言ではないこの防御っぷり、何をどうすればこれを貫けるのか。
「いくぞっ!」
右腕につけた釘打ち機の尖った先をフランクに向ける。構えた後全速力で走りフランクに近づき右腕を突き出し釘の先が防御魔法に阻まれる。この時点でかなり力を込めて突き出したのだが盾は一枚しか割れなかった。盾が砕かれ破片が飛び散る、すぐに釘打ち機の引き金を引く。銃口と思われる所から魔法陣が出現する。魔法陣の数は尋常ではなかった。かなり重なっていて数えることすらできなかった。魔法が発動して釘が射出される。その釘は魔法の盾を全て壊しフランクの鎧にまで達する。一瞬鎧の手前で止まったかのように見えたがすぐに魔法ごと貫く。
「ぐっ!」
フランクはそう言い堪えるようなしぐさをする。しかしそんな頑張りを無駄にするように釘は一向に止まらない。そしてそのまま全ての魔法を貫き鎧に当たる。フランクはそのままどこかへと飛ばされていく。
「ぐわああああああああああ!!」
「フランクぅうううう!!」
「あぁ……」
「……」
「やったー聖騎士を壊したぞ!!」
飛んでいくフランク、追いかけるリーナさん、すっかり驚かなくなりまたかと言った顔をするブルームさん、まだ何かを食べているフィリアス、そして歓喜を通り越して狂嬉しちえるエドワード先生。
フランクはグラウンドの地面を抉りながら後ろに飛び崖にぶつかり止まる。
これは重傷。
俺達はすぐに駆け寄りフランクを見に行った。土煙が風に吹かれはっきりと見えるようになる。すると目に飛び込んできたのは血まみれでぼろぼろnなったフランクだった。ひどいとかそんな簡単な言葉では済ませられないほどだった。
さすがにこれは死んだと思った。今年最初の死者が新兵器の的だとは、なんとも言えないな。隣に立っていたリーナさんも顔が青ざめている。手を口にあて絶望したかのような顔をしていた。
「しししっ、失礼します」
俺とリーナさんの間を割って入ってきたのはブルームさんだった。フランクの状態を見た瞬間、ひっと小さな声を上げたがすぐに治癒魔法を使いフランクを癒し始めた。
「だ、大丈夫なんですの?フランクは……」
「これぐらいで人は死にませんよ、治癒士の私にまかせてください」
治癒をしているときは強気になるブルームさん。ちょっと前までは怪我をしたフランクを見ては悲鳴を上げていたのに、今はここまで成長している。でもブルームさん、具通人はこんな状況だったら死にます。人は非常に脆いんですよ?あそこまで堅くしていたし今は戦治癒士がいるから大丈夫だけど。
「う、ぐっ」
小さく呻きながら意識を取り戻す。フランクはゆっくりと目を開けて周りを見るかのように目と頭を動かす。
「フランク大丈夫ですの!?」
リーナさんはフランクの横に立っていた俺を突き飛ばし駆け寄り手を掴む。ってか無事だったのかよフランクよ。
「聖騎士なめんなよ」
「さすがに今回は私もダメかと思いました」
医者に近い立場であるブルームさんがダメとか言っちゃだめだろ。
「それでこの新兵器どう?」
「威力は最高です。でもあきらかに対人用ではないですね」
「あったりまえだよ!これ対大型魔物ようだもの!」
じゃあなんでフランクを的にしたんだよ、そう全員が思ったのだった。
新兵器はまさかのパイルバンカー!
さぁ新兵器のフラグもたてたし、これで大丈夫かな?




