表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
近未来科学Altic:Factor  作者: 淡水
#02 自己のオーバークロック
9/10

episode09 幸運のフォーマット

2014/08/07 11:30 開発所。

「では、明後日の計画を説明したい。」

錦戸は談話室と開発室の境界沿いにかけられたホワイトボードの前に立った。

他のメンバーは海と木村と加藤、そして中森。最後に肝心の松田。

面々はソファーに座ったり畳に寝転びながら話を聞く体制を取る。

それを確認した錦戸はペンを手に取った。


「取り合えず名駅にテロ予告を送りつけることは決定・・・なのか・・・。犯罪じゃないか?」

「そうね。」「駄目ッしょ・・・さすがに・・・。やっぱり車を押さえるべきだよ。」

海が何か小さい装置を取り出しテーブルに置く。

「何だそれは?」

「GPS装置。格安に手に入れたけどかなり使える。」

今度はスマホを取り出す。すると、何やら画面を開けテーブルに置く。

画面にはこの辺の地域を思わせる様にあまり何も描かれていない地図。

道には筋が描かれている。


「錦戸・・・昨日走ってた?」「どうしてそれを?」

「装置をつけておいた。」

そのまま家に帰るのかと思っていたとも後で付け足す。

「恐れ入ったよ・・・。昨日は中森と走ってたんだ。」「そうです。」

「で、肝心の押さえはどうするの?」

加藤がそう聞いてくる。

うーん・・・と錦戸は唸りを上げた。


「メールを弄るっていうのはどうだ?」

松田が錦戸に言ってみる。最初は少し意味の分からないという表情になった錦戸。

直後にポンと手を叩く。

「?」

海は悩んだ表情となっている。

「要は本社からメールをこちらで改竄する・・・というわけか?」

「あぁ。仕事用のPCは別サーバーに隠してあるらしいんだが・・・それが厄介だな。」

「そういうのはこいつのお得意分野だぞ。」

ようやく状況を理解した海が得意げに錦戸を自慢する。

「どうする・・・?家は?」「20分の自転車でかからないが・・・?」

「ならば、直行する。海。お前はGPS取り付けのために来てくれ。それから泊まる用意はしておきたい。時間を無駄には出来ない。」

すると、加藤が驚いた表情で「泊まるの!?」と言う。

それに何故か木村が興味津々そうな表情を浮かべていた。

「みんな~大変そうだね~。」

なんて、楽観的なんだ。思わず錦戸はそう心で呟く。

「きっと国家機密を保持する社だ。何より重要ならばガードも固いだろう。徹夜でやる気で行く。」

「私達は?」

「あぁ・・・。取り合えずアルタイルの管理と開発所の管理を頼むよ。」


13:30 松田宅。

「なるほど・・・。確かにコマンドプロンプトを覗く限りだとどこか違うところにパソコンがいるようだな。」

錦戸が周りに分かるよう半ば抽象的な言葉でそう伝える。

「んーと・・・。」

海が悩んだ表情となる。

松田家は今日は誰も帰ってこないということらしい。そのため錦戸はスタンドアローン(ネットに繋がっていないパソコン)PCを始め全てのPCを出した。

全てで5つ。3つはジャンク。2つの内一つはデスクトップで普段家族が使うもの。

もう一つは使われていないパソコン。どうも年代ものでマンゴー社の開発したマッキントッシュル。

親からは壊れていると言われたが・・・。


「ところがどっこい・・・しっかり動くな・・・。」


マッキントッシュルはしっかりとその独特の起動音を鳴らせた。

「割と丁寧に使われている・・・。これは・・・ビンゴか・・・?」

海は本体の側面がきれいになっていることなどから勝手にそう推測する。

「ビンゴだと・・・やばいな・・・。」

錦戸がそう切り返す。

「え?」

「俺が持ってきたフロントトラック5のソフトでは解析できない可能性が・・・高い。」

「だ、大丈夫かそれ・・・。」

分からん・・・とだけ錦戸は言うとめがねをかける。

「ま、やってみないと分からんな・・・。」

錦戸は自分の持ってきたパソコンの電源をつける。

そして、ネット上で配布されているのをダウンロードしたフロントトラック5OSを起動させる。

フロントトラック5の英文が姿を現す。


「さて、始めますか。」

フロントトラック5の準備が整った。錦戸は直ぐに無線LANとサーバーの検索に入る。

該当したのは二つ。一つはWEPキーのかかった通常の家庭用の無線LAN。

「こいつか・・・?」

もう一つはマッキントッシュのみが接続されている無線LAN。

「出たな・・・。コマンドプロンプトはいただいた。」

「で、出来たのか?」「あぁ。序の口だが・・・ここさえ超えれば!」

錦戸は大きくENTERボタンを押し込む。

「ここからはメールを探すか・・・。」

「どうするんだ?」

「よし、改ざんするぞ。」「お!」


19:30

「予想以上に時間がかかったな。だが、当日の予定を変更することが出来たな。」

「あぁ。一応は出勤してもらわないと困るしな。」

当日の予定は時間以降に出勤させるということに成功させた。

すると、錦戸が電話を取り出す。

電話をかけたのは加藤。

『何?』

「あぁ。今どこだ?」

『開発所。そろそろ帰るところだったけど、どうかしたの?』

「アルタイルを起動してくれ。」

『いいわ。・・・・・・・・・・・・・・・起動させたわ。』

「ありがとう。」

錦戸は電話を切る。

そして、数日前に送った内容と全く同じ内容のメールを送る。


ブーブー。


「来た!」

返信されてきたメールには「仕事完了▼」と表示されている。

「よ、良かった・・・。」

そこで錦戸はヘタっと、身を落とした。

「い、一応分かるように。GPSつけとけよ。」

海もあぁ・・・!と走り出していく。

そうして、怒涛の一日は終わりを迎えた・・・。


2014/08/10 10:50 開発所。

この日も松田の父は存命している。

つまり、錦戸たちの作戦は全て成功を収めたのだった。

「良かったよ・・・。」

「あぁ。」

そこにいたのは錦戸と松田のみだった。

「一時はどーなるかとも思ったが・・・あれすごいな・・・。」

松田は開発室に鎮座したアルタイルを見る。

「暫く暇だな。」

錦戸は天井の蛍光灯を見た。

蛍光灯本体がいつもより暗いことを感じる。

―そろそろ変えたほうがいいかな。

「どうした?」

「ん?蛍光灯。そろそろ変えたいなと思って。」

「変えるか?商店街までに一軒小さな電気屋あるだろ?」


11:20 電気屋「オデンセン」

「らっしゃい。」

店長は愛想あまりよくなく錦戸たちを見ている。

「今日はどうした?」

「蛍光灯を探しに・・・。」

「二階。」


オデンセン二階

「おぉ・・・パーツがずらり。」

「すげぇな。」

錦戸たちは散らかり半分の棚に見入っている。

奥には蛍光灯も多々ある。

松田はパーツを見て、錦戸は蛍光灯の棚の前に立つ。

「んーっと・・・。」

錦戸は目を回す。

―海をつれてくるべきだった・・・。

今更の後悔に錦戸は襲われていた。

「おー・・・パソコンパーツまで・・・。」

松田はパーツに魅入られている。


「お前らここかよ。」


オデンセンの二階に二人以外の客はいなかった。

さらにその声には聞き覚えもあった。

「海!」

最初にその存在に気がついたのは錦戸だった。

錦戸は早々に蛍光灯を見るように促す。

海は後ろについて蛍光灯の棚の前に錦戸と立つ。

「二本とも変えるの?」

「いや、一本前に変えてるから・・・一本だけ。あ、でも一応保管用に一本置いとくか。」

「おけ。」

海は二本のダンボール包装紙に入った蛍光灯を手にする。

「松田はなんか見つけたのか?」

パーツを見ていた松田に話しかける。

「これ。」

「ん?」

松田は奇妙なパーツを差し出す。

それは一見CPUにも見えるがメモリにも見える。表面には”SecoiA”と書かれている。

説明書には『二台CPUメモリ複合型』と書かれている。

―セコイア・・・・!?

そこで自分の奇妙な発作と同じ名前のものだと気がつく錦戸。

「これ・・・買ってく・・・・。」

錦戸はそれを手に取りカウンターのある一階に向かう。


オデンセン 一階

「これは売れないね。」

「な!?」

「ど、どうしてです?」

いまいち状況を飲み込むことの出来ない海も不思議がってそう聞く。


ドンッ!!


店長はカウンターを殴りつけ、錦戸たちをにらむ。

「売れないと言っている!!!」


そして、一息つけて「蛍光灯の分を払ったら出て行け。」


12:50 開発所

「よし、取替え完了ー。」

海がそういうと。

と同時に正面玄関から木村と加藤が入ってくる。

「あれやっていい?マインメイド。」

海は椅子から降りるやいなや、開発室に入る。その寸前に、「待て!」と錦戸が開発室に入る。

「まーたゲームか!そっちでやれそ・・・・!?」

たまたま、止めに入った錦戸がパソコンの隣に設置された例のロッカーに・・・



そこに・・・



また・・・



何かが貼られている・・・




「ケイコク ハ オワッタ・・・・!?」

「んでだよー。」

「えっ!?」

錦戸は急いでそれを剥ぎ取る。

―また・・・!?

警告は終わった。それだけだった。それだけで・・・。


何かおぞましいものが蠢いていた。


13:00 

コンビニに行くのですら、錦戸は心からおびえていた。

周りの連中は気づいていないのか・・・・気づかないふりをしていたのか・・・?


昼からも彼らはぐったりしていた。

それでも錦戸は全身からじっとりと汗をかいていた。

―だれだ・・・・・・・。本当に・・・・!?

何が何か分からない状態。状況。


「さぁーて、帰ったら今日はパーゲーだぞ!」

海が錦戸と木村に話しかける。

木村はにこやかにうんと言った。

「あぁ。」「直樹。どうした?」

「いいや・・・。」

錦戸はたぬきうんどを手にレジに並ぶ。

「チキン一つ。」

「へっ!?あ・・・はい。」

地元の高校に通う一つ上の先輩の女子店員が錦戸のその死んだ目を見て驚く。

が、チキンを取り、袋に収める。

「飲み物と一緒で?」

「構わない・・・。」

「はい。」

なれた手つき淡々と作業をこなす。


「ありがとうございました。」


13:30

「腹いっぱいだ・・・。」

錦戸は食べた後を簡単に片付け、少し片付ける。

海がニヤニヤしながら、ゲーム機を買い物かごから取り出す。

そして、それを置かれたブラウン管テレビに接続する。

「よし、皆!今日はマリアパーリーだ!」

「りょかい!」

木村と海は二人してゲームが好きなおかげで二人のテンションも半ば最高潮だった。




時間は既に16時半。日もゆっくりと傾いている。

「そろそろ片付けますか!」

海が作業用の椅子から立ち上がり伸びをする。

「あぁ。」

ボォォォォ・・・・。錦戸は無心でハンドクリーナーを畳にかける。

海はそれを他所に机という机を雑巾で拭いている。

木村はせっせと外で使った食器を洗っている。

皆が皆それぞれの仕事をしていた。


「よーし。じゃ、今日は解散しますか!」

海は正面の鍵をかける。


17:30 

「じゃ、直樹。鍵頼んだ。」

海は自転車で途中駅まで一緒の木村と歩いていく。



「・・・・・・・。」

カチャリと鍵をかける。

そこでもう一度癖でドアノブを捻る。だが、いつもと異なりドアノブを再びまわす。

「・・・・よし。」

今日一日は何とも無かった。

―もうアルタイルを使うのはやめよう・・・。


17:35 

帰り道。


辺りはまだまだ明るい。しかし、それゆえにある異常にも気がついた。

―黒塗りの車がやたらと多い。

まるでその存在を示すように。


直後。



背中に来る小さな何か。







「錦戸・・・直樹だな・・・?」


「ッ!?」

そこで気がつくのはそれが銃と呼ばれる存在であること。

「ち、違う!!!」


錦戸は大きく足を上げた。

そして、走る。

―だ、誰だよ!!


400mぐらい先に自宅がある。

それまで必死に走る必要があった。しかし、気がついたのは・・・。

―黒服の男ばっかり!?


ということ。

錦戸は囲まれていたのだ。その屈強な男達に。



17:40 自宅。

自宅の前で流石に連中は錦戸のことを見逃した。

直後に走る恐怖。

と、寒気。


「・・・・・。ちくっしょ!」


22:00 開発所。

―もう連中はいなかった。きっと明日とかにでも来るんだろう・・・。

だが、その前に・・・。



錦戸はアルタイルを起動させる。

「・・・あの時と同じ質問だ・・・。」

一年後の世界を・・・一年後のみらい技研を知りたかった。

アルタイルの出せなかった唯一の知られない未来。






そして、そこで真実を知る。

恐ろしい・・・未来。




2014/08/15 加藤・澤田死亡▼




「う、嘘だろ・・・・!?」


#02 自己のオーバークロック 完


次回予告

未来を知ることのできる存在。


それを奪取しようとする存在。


偶然と必然が生んだ物語は遂に人の命に毒牙をかける。


人類の未来は呆気なくつぶれるのか?


それとも人の命と引き換えに希望を守るのか?


両者一歩も譲らない静からなる戦いが幕を開ける。


#03 戦慄のプログラム


ComingSoon

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ