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喧嘩・イジメそして仲直り?

「古野、昨日は助かった。本当にありがとう」


 昨日の事件後の翌朝、学校の通学路で飛騨君にお礼を言われる。


「いいって。友達が困っていたら助けるのが当たり前だしね」


 昨日の夕方、〇〇公園に行くと飛騨君と知らない人がやはり喧嘩していた。飛騨君一人に対し相手は5人だった。


 飛騨君はヘロヘロでうまく立つことができていなかった。


 流石にこれはまずいと思い、とりあえず知らない人の一人に鳩尾(みぞおち)を入れると気を失ってしまった。割と治安いいところだから喧嘩慣れしていないのだろう。


 僕が倒した人はリーダー的な存在だったらしく、残りの4人はビビって帰ってしまった。


 飛騨君も気を失い、住所を知らないので僕の家に泊まらせることにした。


 飛騨君が起きたのは今朝で勿論僕の家だ。そのまま朝ご飯を食べさせ、今に至る。


 しかし、一つ疑問が残る。


「どうして飛騨君は喧嘩なんかしていたの?」


「……」


「あ、ごめん。答えたくなかったら答えなくていいけど」


「ああ、そういうことじゃないんだ。そのことを少し思い出して。お前には助けてもらったし言わないとな」


 1度咳をして飛騨君は話し始める。


「俺が少し前まで野球部のキャプテンだったことは知ってるか?」


 やはりそうか。


「うん。知ってるよ」


「そうか。ついこの前俺たち三年生は引退試合が行われた。相手は〇〇中学。この地域では珍しい荒れている中学だ。そこと試合をしたんだ」


 確か昨日喧嘩した人は〇〇中学の制服をきていたような…………。


「そして試合は終盤。俺たちが先攻で、向こうが後攻。スコアは1-0のフルカウント。そして9回裏でツーアウト満塁。ここですべてが決まる。

 そして、うちのピッチャーがストライクコースのギリギリにストレートを決める。相手は見逃した。そして、審判がこう言った『ストライク。ゲームセット』と。普通審判に逆らうことはできない。しかし、〇〇中学は講義を始めた。『今のは、ボールだろ』と。確かに厳しいところだったが、審判がストライクと言っている。

 俺は、もう諦めろよ、と思い相手に向かって手を差し伸べたんだ。そしたら相手が、『お前が仕組んだんだろ』と俺に向かって言ってきた。そんなことありません。と言ったらお前の面覚えたからな。って言われたんだ。握手せずに」


 飛騨君の話をここまで聞く。


「でも、なんで昨日の喧嘩につながるの?あ、まさか―――」


「そう。俺たち野球部がその次の試合で負けてからずっと野球の試合が終わっていないという建前で俺に喧嘩を売っているんだ。本当は俺があの試合を仕組んだと思って復讐しているんだ。まあ、治安が悪いしな。他の部員が傷つくより俺が傷ついた方がまだいいからな」


 飛騨君の言うことは分かった。でも、


「でも、それって飛騨君に濡れ衣が着せられているだけじゃないか。そんなのおかしいじゃないか。飛騨君はそれで良かったの?」


「いや、だから部員が―――」


「飛騨君の気持ちを聞いてるんだよ」


 ちょっとキレる。飛騨君の本音が聞きたかった。


「……。正直、嫌だった。なんで俺が――俺だけがこんな目に合わなくちゃならないのか。本当にそう思っていた」


「うん。分かった。じゃあ、今日の放課後行くところあるからついてきて」


「? なんのことかわからんが、分かった」


 飛騨君の了承を得たことだし、準備しないと。




「飛騨君、本当のことをいって」


 現在、放課後となり〇〇公園にいる。


「古野……これってありがた迷惑っていうんだぜ」


 〇〇公園にいるのは、僕・飛騨君そして昨日の〇〇中学の野球部を呼んだ。


「お世辞はいいから早く。今日はスーパーでセールなんだから」


 そして、飛騨君が〇〇中学の野球部の人に言う。


「俺はずるはしていない。お前たちが負けた悔しさをもう俺にぶつけるな」


 飛騨君がそういうと、〇〇中学の野球部のみんなは…………笑っている。


「何がおかしいんだ?」


 思わず僕が尋ねる。すると、


「そんなの分かっているって。あのコースは素晴らしかったもんな。でもな、俺らは誰かをいじめるのが好きなんだよ」


「ちょっと待て」


「楽しいぜ。お前もやってみるか?」


「おい」


「お前は昨日戦ったけどなかなか強かったしな。」


「お前たちは、いじめられる奴のこと、飛騨君の気持ちを考えたことがあるのか?」


「はあぁん? そんなもんあるわけないだろ」


 その言葉を聞き、そいつに本気で鳩尾に拳をぶつける。


「ぐわぁっ⁉ イッテーじゃねーか。な、何しやがる。グファ⁉」


 そいつの口から血が出る。


「本当に痛いってそういうことではない。この一発よりもイジメは痛い。イジメを受けるってこれより痛いんだよ」


 そして、6・7人いた〇〇中学の野球部を全滅させる。


「それで分かったか?イジメを受ける人の気持ちはこの痛みより痛いってことが」


「あ、ああ」


「なら、もう誰もイジメないな? 勿論飛騨君も含めて」


「も、勿論だ。これより痛い気持ちは味わいたくない」


 どうやら理解したようだった。なら、今日の本題を済ませるか。


「分かったなら―――――」


「ひ、飛騨。いままで悪かったな。こんなことさせていて」


「分かったならいいって。もうこれ以上こんなこと続けるなよ」


 なんと、僕が言おうとしていたことが言われてしまった。ということは、もうこれ以上飛騨君が悩むことないだろう。


「お前たちも一応手当しておけよ。手加減しても急所なら痛いしな」


 まあ、怪我させるのは流石にな……。と思い手を抜いたけど、向こうは「じゃあ、本気なら何が出るんだ?」との顔をしている。別に本気出してもかめはめ波はでないって。


「じゃあ、古野。帰ろうぜ」


「あ、うん。そうだね。あれ……? 何か忘れている気がするんだけど何だっけ? あ、セール」


「そういえばそんなこと言ってたな」


「ごめん飛騨君。一緒に帰れないや」


 思わず、今だけでいいから瞬間移動でスーパーまで行きたい。と叫びたかった……。


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