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苦痛の決断の先

迷った挙句やはり、僕には喧嘩を選ぶことは出来なかった。

 

 その日の帰り道、夕焼けに照らされながら家に帰る。小学生が楽しそうに遊んでいる。ああ、僕もあの子たちみたいに楽しそうに遊べたらなぁ。

 

 家に着いても気分はまだ憂鬱のままだった。本当に飛騨君を助けなくて良かったのか。その言葉が頭の中をメリーゴーランドのように回る。


「はぁ~。ただいま」


「おや、どうしたのかい雅?」


 お祖母ちゃんが僕の様子を疑う。


「いや、ね。本当にこの決断でよかったのかなぁ。って思っていて」


 悩みの少しを打ち明ける。


「う~ん。雅がそれでいいと思ったらいいけど、どうやら後悔している感じがでているからねぇ」


 お祖母ちゃんにはバレバレのようだった。


「分かった。全部言うよ」




「友達を裏切ることか、不良をやめると誓ったこと、どちらを選ぶかっていう話だね」


「うん」


 全部包み隠さず言ってみた。お祖母ちゃんは(じか)に受け止めてくれた。


「さっきもいったけど、雅がそれでいいと思うなら良いと思うけど、後悔しているんだろ?それって心のどこかでやっぱり友達を助けたいって気持ちがあったんじゃないのかい」


「でも、僕とお祖父ちゃんで決めた約束を簡単に破りたくないよ。お祖父ちゃんの死で決めたんだ。僕は不良をやめるって」


 そのことを伝えるとお祖母ちゃんはびっくりしたような顔になり、


「あの人なら、自分と友達を選ぶとしたらすぐに友達を選ぶでしょうね。だから、あの人との約束はもう破っているんだよ」


 え? でも……。


「お祖父ちゃんはかなりの自己中って聞いたけど?」


「ええ、かなりの自己中の人だったけど友達のピンチにはどんな理由があっても駆けつけていたよ」


 そうだったのか。


「ということだから、晩御飯の買い物に行ってきてくれないかしら雅」


「――うん。遅くならないようにするよ」


 後ろから、あなたに似た子がやはりいましたよ。というお祖母ちゃんの声が聞こえた気がした。


 〇〇公園に急がないと。まだ夕方だから、間に合えばいいけど……。


 逆光になっている夕日が、迷っていたことをすっかり忘れさせてくれるようだった。

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