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究極の選択

 普通の人間とは? 


 この解は人によるだろう。僕にしてみれば、身長・体重・見た目・成績などが、平均ということと捉えている。だからまずは、不良時代で遅れた学力を平均まで上げよう。


「古野。この問題やってみろ」


 入学してから1週間ちょっと。この学校にも馴染めてきたと思ったけど。え?ここら辺分からないところだし……。どうしよう。


 わからなそうにしている僕を見たのか、海田さんが答えを教えてくれる。


「x=12です」


「よくできた。その調子だ。お前らも今年受験なんだからいい加減勉強しろよ」


 そうだ、僕は今中学3年生の秋なんだ。高校受験が控えているからさらにがんばらなくっちゃ。でも、その前に。

「海田さん、さっきありがとうね」


「いいよ。これぐらい」


 この前のことがあってから海田さんは学校に来ている。やはり、写真は深刻な悩みだったのだろう。


 それと今日知ったのだが、海田さんは学年1位を争うぐらい頭が良かった。僕とは大違いだ。


「古野君、今日暇?」


「別に何もないけどどうかしたの?」


「放課後一緒に勉強しない?」


 これは、学力を伸ばすのに良いチャンスだった。


「うん。勿論」


 だって学年1位に勉強を教えてもらえることなんてめったにないしね。それに、海田さんは結構美人だから、2人きりっていうことは……まさか?


「あと、何人か呼ぶけどべつにいい?」


 まあ、僕如きで1位が付くわけないよね……。


「いいよ。別に」


「そう。じゃあ……七美と、飛騨君。ちょっとこっちにきて」


 海田さんが呼んだのは、田井七美(たいなみ)飛騨洸(ひだつよし)の2人だった。


「どうしたの?玲奈(れな)


 玲奈とは海田さんの下の名前だ。


「今日、この4人で勉強しようと思って」


「いいよ。別に」


 田井さんは良いようだが、飛騨君はどうなんだろう。


「今日は途中で抜けるかもしれないけど」


「良いよ。途中でも」


「じゃあ、俺も行くわ」


 どうやら行くようだ。飛騨君は野球部のキャプテンって言ってたけど何か関係するのかな……。


「じゃあ、放課後に」




 6限目が終わり、放課後になった。4人とも教室の一角に集まり机をくっつける。この時間を有効に使って学力を普通まで上げよう。


「さて、始めましょうか」


「そうだね」


「そうね」


「そうだな」


 4時現在、勉強会の始まりだ。




「古野君は左、私は正面、七美は右、飛騨君は後ろで」


 5時現在、なぜかゲーム会に代わっていた。一応ゲームは持ってきていい制度にはなっているけど僕は勉強しに来たのに……何これ? 4人で1体の獣を狩るゲームだけど、何にも勉強にならないし……。


「おっと、もうこんな時間か。俺は帰るわ。楽しかったぜ。古野、また対戦しような」


「あ、ああ」


「じゃあ、みんなこれで」


「「「ばいばい」」」


 飛騨君はなかなか良いやつだった。勉強はしなかったけど……。


「さて、そろそろ勉強始めようか」


 と、言いだす僕。せっかくなんだし勉強したい。


「でも、まだこいつ倒してないし」


「また、今度でいいじゃん。今度もやってあげるから」


「じゃあ、勉強しよっか」



 

 6時現在、勉強会は終わりを迎えていた。


「さて、外も暗くなってきたし帰るか」


「そうだね」


「そうしよう」


 2人が教室から出ていく。あ、まだ机元通りにしていないのに。…………しょうがない。1人でやるか。


 机を元道りにすると、飛騨君が使っていた机から紙が落ちる。なんだろう?


「なになに『〇〇公園で会おう。今日こそ決着だ』だって」


………………………………果たし状?これは助けないと。


「どいてどいて」


「あれ?古野君。どうしたの?」


「それが、飛騨君が、果たし―――――――じゃなくて、用事を思い出して。また明日」


「う、うん。ばいばい」


 廊下を歩いていた海田さんと田井さんを走って抜かしていく。


 間に合わないかもしれない。でも、行こう。


 ―――――いって何するんだ? 


 僕は普通を目指しているんだろ?なのに、喧嘩だなんて普通のやることじゃない。それに、不良云々はやめるとお祖父ちゃんの死で誓ったはずだ。


 でも、困っている友達がいる。


僕はこの後どうすればいいんだろう――――――――――



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