1:妖精さんは散歩する
町を出て数日、ワタシは街道に沿ってゆったりと歩いていた。
「にしても平和な世界だなぁ」
魔法があり、魔力というエネルギーがあるこの世界には魔法を使う怪物、魔物がいる。
現に町にいた時は何度か町に攻め込もうとする魔物もいたが全て私がオートで迎撃していた。ついでに町中での争いを禁止にし、破った場合は騎士を派遣して治めていた。
なので魔物がいるはずなのだが・・・まぁ、平和な旅路でワタシ的にはとても嬉しい。
「・・・ん?」
ワタシの探知外から急速に近づいてくる存在がいる。
かなり大きな空を飛ぶ生命体。
まだまだここに来るまでは時間がありそうだけど明らかな敵意を向けている。
「うーん、とりあえず待ってようかな」
『亜空間』から椅子と机を取り出して紅茶を嗜む。
バサッバサッバサッ
音が近くなってきた。影が刺し、上をむくとそこには西洋で言うところのドラゴンがいた。白い鱗を持つドラゴンが悠然と地面に降りてくる。
『突然、失礼する』
頭に直接響く声、【念話】という魔法だろう。
『我は龍王バルハムト、貴殿は何故この地にいる』
「ただ散歩しているだけよ。妖精が散歩しているのがそんなにおかしい?」
ワタシが目を合わせるとバハムルトが慌てたように頭を下げた。
『ち、違う。別におかしいことなどない。ただ我は強き者が生態系を破壊せぬか心配できただけだ』
「それは大丈夫だと思うよ?まぁ、突っ込んできたら分からないけど・・・あなたのようにね」
この世界で生きてきてほとんどを待ちの中で過ごしてきたがそれでも悪意に触れる場面は多かった。最近の思い出だとマオーとかいうやつが俺の配下になれって町を襲ってきたからフル装備の騎士を派遣してボコボコにしてから能力の半分を封印してやったなぁ。
『わ、我には戦う意思などない。貴殿と戦うなど命がいくつあっても足りぬわ・・・』
「それならいいの。ただ、あなたの同族だからって襲ってきたら手加減無用だからね」
『承知している。既に我が一族は手出しせぬように伝えてある』
「それならいいの・・・あ、そうだ。ねぇ、この先って街とかある?今人の町を探しててね〜」
『ぬ?それならこの道を真っ直ぐ行くと人の街があるぞ。確か・・・レスティナとか言った街だったかの。我が一族も人化して遊びに行く場所だから安全だ』
「ありがと。またね」
妖精さんは今日も歩く。ただただ日向ぼっこを楽しむために。
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「計画通り、王女はレスティナの街道で始末する」
「異論は無い」
「依頼先は【黒狼】だ。失敗はありえん。王女暗殺が確定した時点で計画に移すぞ」
「我々の神のため」
「「神々に栄光を!」」
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妖精の知らないところで、カウントダウンが進んでいく。




