フェレット帝国
朝起きたら巨大な怪獣になっていた。
『へ?』ってなったけど、それよりお腹がなんか食わせろって悲鳴を上げてる方に気を取られ、『ま、考えるのは後だ』と周りを見渡す。
足下に緑色の草みたいな物が生えていたから、毟り取り口に放り込む。
『うん、なかなかイケる』
でもチマチマ毟り取るなんてめんどくさい。
豪快に口を大きく開き地面ごと食べる。
一緒に小さな虫みたいな物も食べちゃってるけど、美味しいから良いか。
それよりさっきから私の周りを飛び回っている、小ちゃい羽虫みたいな物の方か鬱陶しい。
手足を振り回し追い払う。
アレ? 羽虫みたいなのってなんだったんだろ、パチパチって音を立てて落ちて行き地面の落ちると燃え盛る。
私の大事な食い物が燃えると嫌だから踏みにじって火を消す。
それからまたお食事を再開。
無心に食べ続けてたら此処らへんの緑色の物を食べ尽くしちゃった。
でも物足りない。
もっと何処かに無いかな? って背伸びしたら、水たまりの向こうに緑色の物がチラって見えたから水たまりを越えて食べに行く。
もうね、食べて食べて食べ続ける。
縦横無尽に緑色の物や虫みたいな物をバクバクモチャモチャと食べてたら、緑色の物が無くなっちゃった。
全然物足りない。
何処かに美味しい物は無いかな? って周りを見渡し上を見たら、夜空にキラキラと飴玉みたいな物が沢山あった。
私は背中に羽根を生やしてシュワッチって掛け声と共に飛び上り、飴玉を食べに宇宙を翔ける。
• • • • • •
お母さんがお腹を押さえて「腹減った、腹減った」って言いながら、僕のご飯に手を伸ばそうとしたり僕の事をお肉を見るような目で見たりするようになった。
そんなお母さんを見るのが嫌で、僕は神様にお願いする。
「お母さんを何処かに行かせちゃってください」って。
そうしたら、頭の中に『その願い聞き遂げた』って声が響いたと思ったら、お母さんの身体がドンドン大きくなっていって、お母さんと一緒に見たテレビの怪獣みたくなる。
そして山に生えている木々や野原の草花を食べ尽くした後、宇宙の彼方に飛んで行っちゃった。
飛んでいくお母さんを見て、僕はまた神様に祈る。
「お母さんが元のお母さんに戻ったら迎えられるようにしてください」
直ぐに頭に声が響く。
『ウム、その願いも聞き遂げよう』
その声が頭に響いたあと僕の頭は冴え渡り色々な案が湧いて来た。
その案を纏めて、僕は僕と同じ種の仲間を集めて帝国を建国し、お母さんと一緒に暮らしていた場所を帝都と定める。
建国してから幾星霜、僕たちフェレット帝国宇宙艦隊は宇宙の彼方に向けて、お母さんを迎えに行く旅に出発した。




