95 フィスの力
ヤヒスダンジョンから戻って数日後、ヤヒスとフィスがこの先へのやり取りをしていた。
「だから、クエストを一緒にこなせば、平等にお金がもらえるんだ、ただ、フィスがどんな戦い方やスキルを持っているかわからないから見せて欲しいんだ」
「そうか、金をくれるのかありがたい、それとワシの戦い方だと、体術だよ、なに見た方が早いぞ」
そう言ってヤヒスとフィスが裏門の方に向かおうとしていたら、暇を持て余していたヴィーシャが付いてきた。
「あなた、体術が得意なの、火でも吐くのかと思ったわ」
ヴィーシャがフィスに話し掛けた。
「ドラゴンは身体が柔軟で、柔らかくて硬い筋肉をしている、人間の姿になれば体術に適した身体なんだ」
そう言うとフィスは腰を落として拳打と蹴り、それらをつなげた技を披露していく、上段蹴りを披露すると、ワンピースがめくれ上がり脚からするりと布が落ちていく。
その瞬間ヴィーシャは素早くヤヒスの横っ面に平手打ちを食らわした。
「あぱっ!!」
変な声を出したヤヒスは斜めによろめいて目をつぶっている。
「なにすんだよ!?」
「みた!?」
「何をだよ!?」
「・・・その様子だと見ていないようね」
ヴィーシャはじっとりとした目つきでヤヒスを見ている。
「フィス!あなたパンツはどうしたのよ!!」
「パンツ?履いておらんぞ、この服1枚だけだ」
(あぁ・・・なるほど・・・)
ヤヒスは頬に手を当てながら二人のやり取りを見ている。
「まずパンツね、それからショートパンツにスパッツ、上半身は7分丈くらいのジャケット、ブーツもね」
「余計な金を使わんでも良いだろ、ワシゃこの格好で大丈夫だ」
フィスは手を広げている。
「こっちがよくないのよ!!そうでなければ戦闘しているときにしょっちゅうヤヒスに平手打ちをカマすことになるわよ!!」
「はい、それは嫌です」
ヤヒスは手を上げて言った。
「ふむ、マスターも賛成と言うことか、いいだろう、服装はヴィーシャに一任する」
3人はその足で市場や洋品店に買い物に出かけた、色々と見て周ったが理想的なものを見つけるのには時間がかかった。
「ふぅ、これで良さそうね」
着替えたフィスを見てヴィーシャがそう言った。
「おお、確かに動きやすいな、人間の服とは着てみないとわからんもんだな、はははは」
フィスは嬉しそうに笑っている。
「妹みたいでほっとけないのよね」
「わかる、突拍子もないことをやらかすんじゃないかと気になるよ」
ヤヒスとヴィーシャは並んで話をしながらフィスを見ていた。