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80 ワーウルフ事件③

ヤヒスはワーウルフに向けて右手をかざした。

「剥離!魔力!」

そう叫ぶと彼の右手に魔力の柱が立ち上っている。


「な・・・」

ワーウルフはそうつぶやくと膝をついた。

「俺の魔力がねぇ!?テメェ何しやがったんだ!!」


「剥離のスキル、引き剥がすスキルさ、それでお前の魔力を引き剥がした、それでこれが結合のスキル・・・」ヤヒスはミードリの背中に手を当てて叫んだ。

「結合!魔力!」


ミードリに魔職の柱が吸い込まれ、彼女は立ち上がった。


「ならばもう一度魔力を吸えばいいこと!」

ワーウルフがそう言うと。

ヤヒスはカードを取り出した。


「魔力封じのスペルカードか、そんなの引き剥がせばすむことさ」

ワーウルフはにやけた顔で言った。


「残念だけど結合スキルでくっつけたものは剥離のスキルじゃないと剥がせないんだ」

ヤヒスはそう言うと叫んだ。

「結合!スペルカード!」


ワーウルフの胸部にスペルカードが張り付き、その後めり込んでいった。


「くっそ・・・本当に魔力が無くなっていやがる、吸収もできねぇ、だがよ、ワーウルフに勝てるかな」

「そう言うと思っていたわ」

ヴィーシャはワーウルフの喉元に剣を合わせている。


「いつのまに・・・」

「アンタヤヒスに気を取られすぎ、普通に歩いて後ろを取れたわよ、観念しなさい」

「・・・」


ヤヒスはワイヤーでワーウルフの身体を縛り上げていく。


「さて、なぜこんなことをしたか話してもらえる?」

ヴィーシャはワーウルフに問いかける。


「魔王軍に入るためだ、魔王軍に入るためにはワーウルフ・ハイにならなければならない、だから魔力を吸っていた」


「なぜ、魔王軍に?」

ヤヒスが質問する。


「俺はよ、生まれつきワーウルフだったんだ、変身しなければ普通の人間なのにさ、村では蔑まれて両親は病んだ、8歳の頃に捨てられて、王都まで歩いた」

彼は空を仰いだ。


「8歳のガキが出来る仕事なんかねぇ、ごみあさりやスリをして何年か過ごした、成長してもまともな仕事は無くてよ、ところが最近ローブを纏った男に魔王軍に入らないかと誘われた、三度の飯付き、その内人間の村も襲うってな、復讐できると思ったね、二つ返事で引き受けたよ」


「そのローブの男は他にもお前のような人間を集めているのか?」

ヤヒスが問いかける。

「ああ、そんなようなこと言ってたぜ」


「魔王軍・・・何か準備していると思った方が良いわね、いまから夜警の兵士にこいつを引き渡しに行きましょう」


そう言ってヴィーシャはワーウルフを見下ろした。

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