77 ワアイの町④
「うーん、どれにしようかしら」
ヴィーシャは水着選びで長いこと迷っている。
パムとミードリはすでに選び終えており。
ヤヒスに至っては店に入ってすぐに適当に決めていた。
「やっぱりこっちね」
ようやく水着を選び終えたヴィーシャと共に、全員更衣室に入って行く。
当然のようにヤヒスが一番最初に出てきて、浜辺で待っている。
しばらくするとパムが出て来た。
水着は肩と太腿以外露出していない地味なものだった。
次にミードリだが、肩ひもが細くへその部分が空いている大人っぽいものだった。
すぐにヴィーシャが出てきたが上半身と下半身が別れて露出の多い水着である。
ヤヒスはそこまで露出の多い女性を見たことが無いので目のやり場に困っている。
しかし当の本人であるヴィーシャは、まるで気にしていない様子だ。
「せーので、走って海に飛び込むわよ!せーの!!」
ヴィーシャがそう言うと全員走り出して海に身を投げた。
海は透き通るようにきれいで色とりどりの魚が泳ぎまわっている。
「おぉー・・・きれいだな」
ヤヒスは海の中に顔を突っ込み見とれている。
しばらく海で遊んだ後寝椅子に座って果実のジュースを飲んでいる。
「これよね、これこそバカンスだわ」
ヴィーシャがそう言うと全員気の抜けたような返事を返した。
一日のんびり過ごして日が暮れると、また夕食の時間になった。
今回の夕食は鉄板に魚介類を並べて好きなものを食べると言う趣向だった。
パムは端から食べていく。
ミードリは赤い白身魚がお気に入りのようで、それをせっせと口に運んでいる。
ヤヒスは昨日食べた赤い魚介類を端から食べていく。
「殻は硬いけれど中身は最高だな」
ヴィーシャも同じものを食べていてそれに同意している。
デザートには果実がたくさん揃えられた。
王都では見たことに無い種類のものばかりである。
「来てよかった」
パムがそう言うと、ヴィーシャが笑みを浮かべて答えた。
「そうでしょう!たまには息抜きも必要なのよ」
ヤヒスは果実をほおばりながらコクコクとうなづいている。
その日も食事を終えて水上コテージで眠りについた。
ワアイの町に来てから三日目、ヤヒス達は出立の準備をしていた。
「もう、お帰りになられるのですか?ご遠慮なさらず長く滞在されても構いませんが」
町長がでてきて見送ってくれる。
「楽しいことは長く続くと退屈になるわ、これくらいで丁度いいと思うの」
ヴィーシャがそう言って手を振る。
全員歩き出したところで、大勢の人が四人に頭をさげた。




