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72 魔王の出城③

ヤヒス達はチヌックの背に乗り陥落させた出城周辺を飛んでいた。

「五つ目・・・」

ヴィーシャは目を細めてつぶやく。


「魔王軍の出城がまだあったなんて・・・」

「建設中と思われる物を含めると七つですね」

ヤヒスとミードリがやり取りしている。


「ヴィーシャ」

ヤヒスが話し掛ける。

「んー?」

「あの出城も落とした方がいいのかな?」

「それは私も考えていたのよね、でも今回のと同じ兵力である保証は無いし、厄介なスキル持ちもいるかもしれない、それに一度にたくさんの出城を落とすと相手に警戒されてより堅固なものにしてくる可能性があるわ」

「なるほど」

パムは風に目を細めて言った。


チヌックはそのまま南へと飛行していく。

ちょうど良い丘があったので、チヌックをそこに降ろし、ヤヒスの母からもらった弁当を広げて食べ始めた。


「んーハム美味しい」

ヴィーシャが声を出す。

「野菜と卵も王都とはまるでちがいますね」

ミードリも食事に嬉しそうな声をもらす。

「そりゃぁ農家だもんね、卵は朝取り、野菜も裏の畑でちょいと取ってきたものさ」


昼食も終わり、チヌックでさらに南下するとソビル村が見えてきたので、チヌックから降りて村まで歩いて行く。

村に入ってヤヒスの家のドアをノックすると母親が出て来た。


「あら、早かったのねぇ」

「ああ・・・うん何だかうまくいってさ」

「そうかい、まぁみんな無事でよかったよ」


その日もヤヒスの家で夕食を取りヴィーシャ達は村の集会場を寝床とした。


ヤヒスは夜の星空を眺めて土手に寝転がっていた。

(自分も大分強くなったと思うけど、魔王軍の出城がいくつも建設されていて、これからどうなるんだろう、不安だな)


ヤヒスはしばらく考え事をした後で寝床に入った。

翌日は早朝から村を出て、チヌックで空を行き、王都の手前で降りた。


「チヌック、鷹の姿に」

ヤヒスがそう言うとチヌックは返事をしてきた。

「はっ、わが主」

チヌックはグリフォンの姿から鷹へと小さくなり、ヤヒスの肩にとまった。


城門を抜けて大通りを進み、冒険者ギルドに入って行った。

「あら、ヤヒスさん、どうしました?」

受付嬢がそう言うと、ヴィーシャが前に出てきて言った。

「これよ」


ヴィーシャは布切れをカウンターに置く。

受付嬢はそれを広げていく。


「魔王軍の旗!」

ギルド内がざわめきだす。


「あのう・・・魔王軍の出城を攻略したのですか?」

受付嬢の言葉に全員うなづいた。

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