69 Bランク
今日も修練場には木剣の交わる音が響いている。
ヤヒスとヴィーシャのトレーニングである。
「今日はここまで、と言うよりもう十分よ、私と互角になっているわ」
「いや、ついて行くのがやっとだよ」
「それでいいのよ、成長期が続いている証拠よ、それに私も成長してる」
「パムもミードリも新しいスキルを取得している、そろそろ各地のダンジョンに乗り込む時期ね」
そう言ってヴィーシャは修練場を後にした。
それから一年後
ヤヒス達は冒険者ギルドに来ていた。
「ちょっといいかしら」
ヴィーシャは受付嬢に話しかける。
「私たちがBランクパーティーになるにはあとどのくらいかかるの」
「パーティー黄昏さんですね、調べてみます・・・もう少しと言ったところですね」
「一気に、一度で昇級できる方法はあるかしら」
「ええと・・・ありますが、危険度も高いですよ」
「かまわないわ、どんなクエストなの?」
「魔王の出城を陥落させることです」
「出城・・・そんなものが出来ていたのね」
「はい、何組か冒険者が挑みましたが誰も陥落できず」
「・・・それを受けるわ」
「わかりました・・・これがクエスト用紙です、クリア条件は掲げられている魔王軍の旗を持ち帰ることです」
ヤヒス達は冒険者ギルドを出てパーティーホームに向かった。
ホームのリビングで用紙を確認する。
「北の方ね、人間の領土に近いところまできているわ」
「いつの間にか魔王軍がこんなに進行していたなんて」
ヤヒスが心配そうな声を出す。
「出城、と言うことは外にも警備がいると言うことでしょうね」
ミードリが地図をなぞって言う。
「で、いつ出るんだい」
ヤヒスがヴィーシャに質問する。
「明日よ」
「そう言うと思った、チヌックー!」
彼がそう叫ぶと、一羽の鷹が窓から入ってきた。
「お呼びでしょうか主」
チヌックはヤヒスの肩に乗って言う。
「北にオレの生まれた村があるんだが飛んで何日くらいかかるかな、モルゲン王国より少し遠いくらいなんだけど」
「それでしたら早朝に出れば夕刻には到着するかと」
「俺の村で食料を補給すればいいから王都でそろえるものは何もないね」
「すごく助かる」
パムはヤヒスの方を向いてそう言った。
「じゃあ明日の早朝に出立ね、お腹が減ったわ、お昼ご飯にしましょう」
ヴィーシャがそう言うとヤヒスはキッチンに入り、ミードリはそれを手伝った。
こうしてヤヒス達は初めて魔王軍と対峙することになった。




