58 スキルレベル
ミードリが魔物に食われてしまい、それをヤヒスの結合で復活させた一行は街の風呂屋に来ていた。
ヤヒスと女性陣は分かれて入って行く。
ミードリがコートを脱いで裸体になると、ヴィーシャはその身体をまじまじと眺めている。
「どうかしたんですか?」
「いや、どこかに傷でもないかと思って調べているんだけれども全くこれっぽっちも見当たらないのよね」
「ヤヒスの結合スキルはすごい」
パムがそう言うと。
ミードリが話しに乗ってきた
「そうですよね、本当に予想外の使い方をされますね、まさか死人を元通りに蘇らせるなんて」
「そこだけど、今回は処置が早かったとか、何かの条件がうまく重なったとかの可能性もあるから一概には言えないと思うわよ」
ヴィーシャがミードリを指さしながら言う。
「私もそう思う、すごく心配したよ」
パムは渋い顔をしてミードリに話し掛ける。
「あっ、そうですね、ご心配をおかけしました」
ミードリは
深いお辞儀をする。
「うっ、うん」
「・・・」
ヴィーシャとパムは微妙な空気になっている。
「まぁまぁ、とりあえず温泉に入りましょう」
ヴィーシャが率先して洗い場に入って行く。
その頃ヤヒスは自分のスキルのことを考えていた。
(あの、ミードリの結合は確かに出来る感覚があった、おそらく前は出来なかっただろうな、と言うことはスキルレベルがあがったのが要因だと思うんだけど、この先どんな風に結合スキルは変化していくんだ?)
彼は身体を洗いながら色々と思考を巡らせていった。
しかし一度湯船に入ってしまうと、そんなことはどうでもいいように思えてきて、ただぼんやりとしていた。
全員が風呂屋から出ると冒険者ギルドに向かい、中に入るとカウンターに「タイガー」の魔石を出した、キングタイガーを討伐したことはもちろん報告していない。
タイガーには良い思い出が無いので、別のクエストを受付嬢に紹介してもらうと、ロックコッカーの討伐を紹介された。
ロックコッカーはコッカーの亜種で外皮が石で出来ている巨大な鶏である。
最近鉱山に湧き始めたので討伐の依頼が増えている。
ヤヒス達はその討伐を請け負い、宿屋に向かって歩き始めた。
夜の街ではあるが、ドルガン大国は魔石の産出量が膨大なため、街路はきらびやかで楽しい気持ちにさせてくれる。
ヤヒス達一行がこの国に滞在するのはあと半月である、長いようで短い時間、一行はなにか得られることが出来るだろうか。




