55 キングタイガー
ギルドの紹介でタイガーの討伐クエストを受けた四人は、正門から出て歩いていた。
最初は林の踏み跡だったものが、その内草原に変わり、見晴らしがよい場所に出て来た。
タイガーはこの草原に住み着いているらしい。
「タイガーの姿が見えないね」
パムがそう言うと全員がうなずいた。
タイガーの見た目は縞模様で大型の猫のような姿らしい。
「あっ、あそこにいるのは?」
ヤヒスが指さすと確かに話に聞いた大きな猫のような生物がそこにいた。
「速攻で攻めるわよ!」
ヴィーシャは剣を抜き
パムは支援魔法を、
ミードリはロッドを構えて火炎魔法を放った。
タイガーの身体は燃え上がり悲鳴を上げている。
そこにヴィーシャが突っ込んでいき、横っ腹に剣を突き立てた。
魔物は塵になり魔石が残った。
「油断はできないけど、それほど強い魔物ではないわね」
ヴィーシャはまじめな顔でそう言った。
その後も何体かタイガーを討伐して、要領よくクエストをこなす一行だったが、ある程度の数をこなせたので。
木陰で昼食を取ることにした。
「美味しいクエストね、特に火炎魔法が良く効いているわ
ヴィーシャはパンを咥えて言う。
「確かにそうだね、俺の剣でも戦えているし」
昼食後にはまたタイガーの討伐に集中していった。
見る限りのタイガーを倒して、そろそろ帰ろうかなと言うところにそれはやってきた。
体躯は通常のタイガーの五倍はある巨大なタイガーだ。
ゆっくりとヤヒス達に向かってくると、そのタイガーは言葉を発した。
「ワシはキングタイガー、タイガーの長だ、お前たちはずいぶんと部下を傷めつけてくれたようだのう」
「ま、魔物がしゃべった・・・」
ヤヒスはひどく驚いている。
「ネームド!人語を解する魔物の長よ」
ヴィーシャは剣を構えている
「速攻!」そう叫ぶとミードリは火炎魔法を放ち、ヤヒスとヴィーシャはツッコミキングタイガーの脚を斬り付けた。
しかし、火炎は魔物の毛を少しも焦がさず、刃ははじかれてしまった。
「ははははは、お前たちのような小物がワシをどうこうできるものか、ではお返しだな」
キングタイガーが口を開けてヤヒスにとびかかって来る、ヤヒスは動けないでいる。
その刹那、ミードリが飛び出してきてヤヒスを突き飛ばした。
ミードリはそのままキングタイガーの口に捕らえられた。
魔物は顎を上げて耳に響く咀嚼音をたて、その後、飲み下して顔をヤヒス達に向けた。




