52 第五坑道
ロックバニーの討伐は簡単に行えるようになったので、討伐対象を変えることを検討していたが、適切なクエストが良くわからずにいた。
自分の達ランクにあったクエストを選ぶのは、慣れない国では勝手が違った。
とりあえず冒険者ギルドに顔を出して、クエストの張り紙を見て、受付嬢に聞いてもいまいちピンと来ない。
ギルドのテーブルに座ってあれでもないこれでもないと話しあっていると、声をかけられた。
「よっヤヒス、調子はどうだい」
バルドルドが立っている。
「それがどのクエストが自分たちに最適か分からなくてえ悩んでいるんだ」
ヤヒスはバルドルドに相談を持ち掛けた。
「今までは何を狩っていたんだ」
「ロックバニーだよ」
「状況は余裕があるか?」
「あるよ、それで困っていたんだ」
「それならロックアントだな、石でできたミドルアントみたいなものだ、お前たちは剣を使う前衛二人で、あと二人は魔法師と補助師、ってところか剣も魔法も効きにくいロックアントは関節の隙間を狙って剣撃を入れることになるから、腕が上がる、連携も必要だしパーティーの実力が上がるぞ」
バルドルドは柔和な顔つきをしながら話して来る、後輩の面倒を見るのが楽しいと言う雰囲気である。
「また何かわからないことがあれば俺に聞きなよ、ここはオレのホームだからな。」
バルドルドはそう言って冒険者ギルドから去って行った。
「ふーん、なかなかいい奴なのねバルドルドって、見直したわ」
ヴィーシャが頬杖をついて何気なく言った。
「だろう、イエールの友達だから悪い人じゃないって」
「人は見かけによらないね」
パムは少し失礼なことを言った。
「後輩冒険者が気になるって言うところでしょうか」
ミードリが首を傾げて微笑している。
「それならロックアントのクエストを受けましょう」そう言ってヴィーシャは受付に歩いて行った。
「今の所ロックアントのクエストは3件あったから比較的簡単そうなものを選んできたわ」
「ええと・・・第五坑道で、ロックアントが湧き出しているため、これを駆除すべし」
ヤヒスがそう言うとヴィーシャが答えた。
「比較的大きな坑道だから戦いやすくて腕試しにちょうど良さそうなのよね」
「じゃあさっそく行ってみましょう」ミードリが提案すると、皆それに従った。




