47 ドルガン王国
ヤヒス達はクエストの種類を変えるために、ドルガン王国に向かうことを検討していた。
ドルガン王国は、ソヴィリバーレと友好を結んでいる国である。
豊富な鉱山を持ち、日用品から武器防具、金属製のあらゆるものを生産、輸出していた。
一方ソヴィリバーレは農耕で成り立っており、互いに輸出入の関係にある。
王族同士も親交が深く、ソヴィルバーレ家の王妃がドルガン家に嫁いだりもしている。
王都も徒歩で4日と比較的近い位置関係にあり、両国が非常な友好関係にあることで、双方発展していると言える。
「と言うわけでドルガン王国は、冒険者にとってもおいしい国なのよ」
ヴィーシャがにこにこしながら話している」
「ただ、パーティーランクがDにならないと受けられないクエストがほとんどです」
ミードリが話を振って来る。
「そうか、俺たちはこの間Dランクになったもんな」
ヤヒスが心得たと言う顔で言った。
「しかしそうなると1カ月くらいは滞在したいのよね、様々な費用と、クエストの報酬が釣り合うのがそのあたりなのよ」
ヴィーシャは少し不満そうな顔をしている。
「しかし、クエストの量は豊富だと聞いていますから、この際収入は度外視して、レベルや技術の向上を目指してはどうでしょう」
ミードリがそう提案してきた。
「うん、俺の剣術も色々試してみたいしね」
ヤヒスがそう言うと全員納得してドルガン王国行きが決定した。
(Dランクになると出来ることがこんなに広がるんだな、だから武闘会が開かれているんだ、昇級しておいてよかった)
ヤヒスは先日の武闘大会のことを思い出していた。
「ヤヒス、Dランクのことを考えているでしょ」
ヴィーシャはヤヒスの方も見つめて言った。
「どうしてわかるのさ」
ヤヒスは驚いている。
「何となくよ、Dランクになったとたんクエストの種類が増えるものね、期待するのは分かるもの、ねぇミードリ」
ミードリは意図を悟ったような顔をして話し出した。
Dランクの壁と言うものが存在し、なかなかDランクになれないものがまず多く居て、Dランクになれても、次のBランクに中々上がれずに万年Dランクのパーティーが少なくないこと。
ランクが上がらずに冒険者をやめてしまうことなど、そのようなことをミードリは話した。
「Dランクの壁か・・・」
ヤヒスは独り言を言った。
「そう、だから一刻も早くクエストを消化する必要があるのよ。」
ヴィーシャはそう言って立ち上がった。




