41 ワーウルフ
ヤヒスがウルフの魔石を手で勢いよく挟む。
「結合!ウルフ!」
ヤヒスの身体は光に包まれ、他の三人は眩しさに目を細めた。
ヤヒスの身体は成人男性の二回りほど大きくなり、全身が毛におおわれていた。
口は狼特有のマズルになり、牙がむき出しになっている、爪の方は鎌と同じほどの大きさで、頑丈そうな見た目をしている。
「なにか起こったのか・・・」
ヤヒス自身は自分の変化が見えないので困惑している、やがて手の爪を見て大声を上げた。
「うわっ!爪が」
次に顔や腹などを撫でまわし、自分の状態を確認する。
「ワーウルフ・・・」
ヴィーシャがぽつりとつぶやく。
「ワーウルフ、そうか、ウルフと人間が混じったのだからそうなるね」
ヤヒスは納得したような声を出した
「攻撃力を見てみましょう」
ミードリが言うので、ヤヒスはすぐそばにあった木を爪で思い切り裂いてみた。
木は両断されて飛んで行った。
そして腹の底から咆哮を上げた。
するとヴィーシャ達は膝をついたり腰を着いたりしている。
スタンの効果だろう。
「スタンまで使えるのか、おそらく牙も強いだろうし、これはすごいな」
ヤヒスはそうつぶやいた後に、地面にどかりと座り込んだ。
やがてスタンがとけた三人が口を開く。
「すさまじいわね、これは相当強いわよ」
ヴィーシャが口に出すと、ヤヒスが言った。
「これ・・・元に戻るの」
全員があっと言う顔をする。
「だ、大丈夫ですよ、武器への付与も戻りましたし」
ミードリが声をかけてくる。「いやだーーー!!一生このままなんていやだよーーー!」
ヤヒスは頭を抱えている中でパムが声をかけてきた
「剥離のスキル」
「そうか!剥離でウルフの効果を引き剥がせばいいんだ!」
さっそくヤヒスは剥離のスキルを使用する。
「剥離!うルフ!」
かれがそう叫ぶとポンッという音とともにヤヒスの身体が元に戻った。
「よかったーーー元に戻った、だけど何か疲れたな」
彼がそう言うと
ミードリが声をかける。
「身体が大きく変化していますし、魔石を取り込んだので、その反動でしょうね」
ヴィーシャはその点を心配したのかヤヒスに声をかける。
「これは強い敵やピンチの時に使うようにした方が良いわね」
「しかし、すごい強さだよ」
パムは面白そうな様子でヤヒスの身体をペタペタと触っている。
「ウルフでこうだと、強い魔物を結合させたら恐ろしいことになるわね・・・」
ヴィーシャは顎に手を当てて考えているようだ。
「俺はとりあえず元に戻れて良かったよ」
と笑った。
皆それに合わせて声をあげて笑った。




