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38 ウルフ

冒険者キャンプを目指していたヤヒス一行は森林地帯に入っていた。

「こんな大きな木は村でも見たことが無いよ」

ヤヒスは大木を見上げながら言った。


「地面の魔素が多いと大きくなる植物もいるそうです」

ミードリがそう言う。

「え、そうなの、村の麦は魔素おろしにやられちゃうのに」

ヤヒスは自身の生まれた村のことを思い出していた。


大木の切れ目からはまだ雪のかぶっている山脈が見える。

「上級者パーティーはあの山まで登って討伐するそうよ」

ヴィーシャは遠くを見つめている。


しばらく進むと何やらこんもりとしたものが見えてきた。


「冒険者キャンプかな」パムがそう言うので良く見てみると、なるほど人が多く集まっている。

キャンプに到着するとまず貸しテントを調達した、この一帯はまだ寒さが残るので、テントは欠かせないのだ。

キャンプの端の方に陣取り、ヤヒスが手際よくテントを設営していく。

そうしていたところに、声をかけてくる者がいた。

「よぉ!ヤヒス!」

「イエール!君も来ていたのか」

「当然よ、稼ぎ時だからな!それより聞いたぜ、リトルベルゼブブを討伐したんだって?」

「もう知ってるのか」

「いや大したもんだよ、それでまだレベルEパーティーってんだからおどろくぜ」


イエールとは久々に話して盛り上がった。


「とりあえず討伐に行くのは明日だとして、野宿食を売っているところがあったから買ってくるわ」

そう言ってヴィーシャはテントの間に消えて行った。


翌日は朝から討伐に出かけて山道に入っていった。人が多いので先を越されることが多かったが、魔物の量も多いようで何度か戦闘が行われた、主な魔物はウルフとリトルベア、エテモンキーだった。

ウルフは群れで現れ「リンク」と呼ばれる連携した戦いを挑んできた。

これが厄介で、背中を見せると襲い掛かってくるため背中合わせで対応するしかなかった。


ヤヒスは倒したウルフの魔石をさっそく結合させる。

「結合!ウルフ!」

メイスにウルフの特性が宿る。

(さて同じモンスター同士、どういう結果になるかな)


そう考えていたところ、メイスの頭部が膨らみ巨大なウルフの形に変化した。

変化した頭部は唸り声をあげて周囲のウルフに激しく一声吠えた。

そのとたんウルフたちは硬直したような状態になり動きを止めてしまった。


「スタンよ!硬直しているから今のうちに倒して!」

ヴィーシャは斬り込んでいき、ミードリは火炎でまとめてウルフを焼き払った。


「すごいじゃない!ウルフにウルフの性質をぶつけるとスタン状態になるのね!」

「おそらくですが、上位のウルフの命令のような効果が乗って、群れが静止したのでしょう」

ミードリが説得力のある答えを出す。


「さぁどんどん行きましょう!」

ヴィーシャは先頭に立って森の中を歩いて行った。


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