-36- トヨハの町
ヤヒス達4人はトヨハの町に入っていた。
「王都よりは小さいけれど栄えた町だね」
ヤヒスがそう言うとミードリが答える。
「トヨハの町はダンジョンがあり初級冒険者の集まる街ですからね、それで産業が成り立っているのです」
確かに、鎧を着込んだり剣をさげた複数の集団がたむろしている。
住民に冒険者ギルドの場所を聞くと「いつものこと」のように教えてくれた。
ギルドについてドアを開けると、そこらに座っている連中が
ジロリと視線を投げかけてきたが、すぐまた視線を戻した。
受付まで行きダンジョンのクエストを受けたい旨を申し出ると、ダンジョンの構造を説明してくれた。
「当地のダンジョンはタワー型ダンジョンになります、見かけは低くて小さいダンジョンですが、魔法の影響なのか広く高い構造になっています。
受付嬢はマップを示して教えてくれた。
それを見ると10階層でフロアは水平に広く、高低差もあり、最上階まで達するには3日はかかると記されていた。
「ボスはいるの?」
とヴィーシャが聞くと。
「最上階にリトルベルゼブブがいます、これは塔に魂が縛り付けられているような状態のようで、倒しても一定期間で復活します」
と教えてくれた。
ギルドを出た4人は大通りに面したベンチに腰かけて相談をしていた。
「日数は良いとしてボスがベルゼブブとはおどろきましたね」
ミードリが意外そうな顔をしてリトルベルゼブブの絵を見ている。
「でもリトル、って付いてるんだから相応の強さなんだろ」
ヤヒスが絵をトントンと指先で叩く。
「大型のベルゼブブは酸を吐いてくると聞く、小さくてもその特性を持っている可能性がある、浴びると厄介だね」
パムは鉛筆を転がしながら言った。
「何言ってるの、最上階まで行かなくて途中で戻ってくればいいのよ、それを繰り返してレベルなりお金なりを稼げばいいのよ」
ヴィーシャが腕組みをして顔をかしげながら言う。
「あっ、そうか、だとすれば適当な階で降りればいいし、街のはずれだからすぐ補給もできるな」
ヤヒスは合点が言ったと言う顔をする。
「だから人気のある町なのよ」
とヴィーシャがほほ笑みながら言う。
「とりあえず明日から塔に上るとして、今日は宿を取りましょう」
ミードリは街並みを見ながら言った。
(ダンジョンかあ、前のダンジョンとは全然性質が違うみたいだな。気を付けないと)
ヤヒスは地図を見つめて思った。




