盾
ヤヒス達は最下層のボスを倒し、息を整えていた。
「さて、あのゴーレムが守っていた扉の中には何があるかしらね」
「このダンジョンの名前が無限の洞とあるから、また無限に使える武器なのかな?」
「無限と言うのは無限にモブが湧くからではないでしょうか?」
ミードリはヤヒスとヴィーシャの話しに加わっている。
「うーん、無限沸きが命名の由来の線を僕は推すなぁ、まぁとにかくドアを開けてみよう」
マサカツはフィスを伴って歩き始めた。
「よっとほい!」
フィスはドアを蝶番ごと引きちぎりそれを遠くに投げ飛ばした。
「む、相変わらずすごい力であるな、非常に頼もしい」
「なに、この身体はドラゴンの力がそのまま凝縮されておるからのう、こんなもんはへーちょだわい」
リャヒに褒められたフィスは嬉しそうに笑う。
室内への口を開けた箇所に銘々入りこんでいくと、中央にチェストがあった。
「ん、このチェストの中身は何かな、また装備かも」
「そうね、じゃあ開けるわよ」
パムの声にヴィーシャは返事をしながら金属のボタンを押して、そのまま蓋を押し開けた。
「これは・・・盾だねぇ・・・」
「盾だ・・・」
「盾であるな」
「ふーん・・・私たちは盾持ちがいないからこれは使えないわね、残念だわ」
ヴィーシャは盾を片手で持つとスイっと宙に上げた。
「軽いわ・・・サイズもちょうどいい・・・多分何かの効果が乗っているんでしょうけど」
彼女はそう言うと後ろにいたヤヒスに渡した。
「おぉ、こりゃ軽い」
そう言ってヤヒスは隣のリャヒに盾を渡し、それが全員順繰りに進んで行った。
「とりあえずはリュックにしまって地上に出てから良く見てみましょう」
ミードリがそう言うとリャヒはリュックをおろして盾を荷物の隙間に押し込んだ。
「パム、マーカーは作動している?」
「大丈夫、ダンジョンの入り口にマーキングした地点まで最短距離を示している」
ヴィーシャはマーカーが作動していることをパムに確認すると再び前を向き歩み出した。
幾度か廊下を折れて、多少の階段を登ると、出口が見えてきた。
「はぁ・・・やーっと外だよ、お腹減ったなぁ・・・みんなもお腹空いているだろうからすぐに用意するよ」
ヤヒスはダンジョンの出口を乗り越えながら後方に声をかけるとにぎやかな声が返って来た。
「マスターよ、はよう飯じゃ飯じゃ」
「慌てないの」
「うぅ、不覚にも我は空腹を覚えている」
「なんだいそれ、不覚にもってそんな大仰な」
フィスをヴィーシャがけん制している中で、リャヒとマサカツは間の抜けた会話を交わす。
「さて、じゃあ配るよ、はい、隣に回していって」
ヤヒスはササ竹のような葉にくるまれた三角形をした何かを渡してきた。
「これは何だ?リャヒが葉を開くと中から薄手のパンのようなものが出てきた」
「それはレンバスだよ、エルフの里で作り方を学んできたんだ、半年以上も状態が悪くならないし、それ一個で満腹になるし美味しいんだよ」
ヤヒスはコップに水を入れてそれもまた全員に渡していった。




