番外編 リャヒと言う王①
どこか冷え冷えとする会議室でリャヒはひときわ大きな椅子に座していた。
「王よ、ここまでの説明の通り農地の貧弱さもあり、食料が不足しております、このままでは餓死者が出る可能性も考えられます」
部下の一人が紙束を叩きながら言った。
「ん、理解しておる、ことここに至っては具体策を話し合う段に来ておるだろう」
リャヒは顎に手をやり部下たちを見やった。
「王よ、私から意見が」
大臣が口を開く。
「うむ、申して見よ」
「は、南に広がる人間の領土と食料を奪う、これしかありません」
会議室は少しざわついた空気を見せ、リャヒはこめかみに人差し指をあてた。
「我が人間たちになんと呼ばれておるか知らぬわけも無かろう、魔王だ、魔の者だと言われておるのだ、人間の国へ進行すればなおされその悪名を高めることになるぞ」
「悪名など、国民を餓死させるのに比べれば小さなことではありませんか」
大臣が声を張ってリャヒに意見する。
「しかしな・・・戦になり、何人も死ぬやもしれんぞ」
「王よ、弱腰にならないでいただきたい、人間の土地に進行することに賛成の者は挙手をせい!!」
「大臣は王であるリャヒを差し置くような形で叫んだ。
「・・・王よ、8割方が賛成しておりますぞ、これは人間の領土と食料を奪うことにお決め下され!!」
「うむ・・・ああ・・・お前に任せる」
「は、直ちに派兵の準備に取り掛かります」
リャヒは重責と先の見えない不安から戦の大半を大臣に任せてしまうことになった。
それからしばらくして、リャヒの元に大臣から知らせが入った。
「王よ!五千の兵が予定の配置に到着しました!人間側の様子を見つつ近日中には開戦となりましょう」
「そうか・・・指揮権は誰が得ておる」
「人間のスパイです、同じ人間ならば状況を読みやすいかと思い配置しております」
「そうか・・・」
リャヒは額を押さえて机の木目に目をやった。
それから一週間後。
「王よ!なぜ兵を動かさぬのですか!!人間側はおおよそ三千、力押しで勝てるところですぞ!!」
大臣の話しにやつれた顔をしたリャヒが顔を向けた。
「そこだ、戦力差があるならば人間側が何か提案をしてくる可能性がある、そこから話し合いの場になり、領土の割譲や食料の補給などを手に戦を避けられるやもしれぬ・・・」
「ぬ、む・・・なるほど・・・しかしそれほど甘いものではありませぬぞ、日取りを決めてそれまで何もなければ進軍し、開戦しますがよろしいですか?」
「ふぅ・・・任せる」
大臣は執務室を出て行きリャヒは大きなため息をついた。
「なぜ・・・このようなことに、私の知恵が足らぬゆえか・・・」
彼は椅子にもたれかかり天井を見つめた。




