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番外編 マサカツのこと⑤

マサカツは大学に合格し、一期生として授業に取り組んでいた、最初の講義は高校ですでに習ったような内容であったが、真剣に取り組みレポートを日々提出すると言う大学生らしい生活をおくる。


必修科目以外にも自分の糧となる講義は片っ端から受講した。

彼が幼少期に見たバトルスーツを身に纏い戦うヒーローの映画では、主人公はプログラムから金属加工までたった一人で行い、バトルスーツを完成させていた。


幼いマサカツは直感的にソフトもハードもある程度修めておく置くことが必要であると感じていた。

そのため大学ではプログラミング実習と金属加工実習の両方を受講することになったのである。

二期生になると、ぐっと講義の内容が本格的になり、自分が進みたい分野の選択も迫られていく。


ある日マサカツは国道沿いの大きな横断歩道で信号が変わるのを待っていた。

やがて信号は青になり彼は何気なく足を踏み出したところに、大型トレーラーが全く減速をせずマサカツに突っ込んで来た。


彼の目にはハンドルに突っ伏している運転手が写り、その記憶を最後に暗闇に放り出された。


マサカツが気が付くとそこは薄暗い部屋で、どのくらいの広さなのか、天井の高さはいかほどか全くわからない場所であった。


気が付くとマサカツの目前に大きく真っ黒な板が宙に浮いていた。


「・・・モノリス・・・2001年のモノリスだ・・・ん?音声限定と書いてあるぞ」

彼がそう言うと部屋の中に声が響き渡った。


「どのような人間が何を目安にして知的生命体と認識するかわからないので、おおむねこの姿で現れるようにしている」

「神・・・なのか?」

「神などは存在しない、私は自己の存在理由もどこから来たのか、上位存在がいるのかも知らされていない、固有名詞が必要ならば先ほど君が口にしたモノリスと呼称してくれたまえ」


マサカツは顎をざっと撫でてから口を開いた。


「俺は死んだ、そう、この状況は異世界転生だ、そうだろう?」

「その呼称で理解してもらえるならば非常に助かる、その通り、異世界転生だ」

「じゃあどこのどんな世界に送られて何になって能力はどういうものなのかな?」

「君たちがファンタジー、剣と魔法と呼ぶ世界だ、そこで君は神になる」


マサカツは髪の毛を撫で上げた。


「神はいないと言ったじゃないか」

「そうだったなわかりやすく伝えたまでだ、君は世界の管理者となる」

「そう言うのはいやだなぁ・・・それでどんな能力を与えられるのソドムとゴモラでも滅ぼすの?」

「能力はその世界の常識をインストールされ、どの言語も話すことが出来ることだ」


モノリスは「音声限定」と言う文字を赤く発行させてその身を空中に固定したまま声を出す。


「そんなのは基本的なスキルじゃぁ無いのかい?何か世界をあやつるような能力は付与されないのかい?」

「ない、君の前任者にはそのような能力を多く与えたが、ある日その力で世界を壊し始めた、幸いにもその世界の住人によって排除されたのだがね」

「前任者が無法を働いた時点で解任しなかったのか?」

「私にはその権限はない」

「もしかして前任者が世界を壊し始めたから、次の適任者には大幅な制限がかけられたって言うこと?」


モノリスは相変わらず空中の一点から動かないでいる。


「理解が早くて助かる」

「じゃぁどうすれば、普通に生活すればいいのかい?」

「いかようにも」

「その世界には何でも金銭が流通しているんだろう?いくばくかはお金を持たせてくれるんだろう」

「君には先に述べた能力以外付与される物は何もない」


マサカツは大きくため息をついた。


「うっそでしょう、平民以下じゃないか・・・」

「そろそろポータルの準備が整う・・・・・・・転送」


モノリスがそう言うとマサカツは草原に立ち尽くしており、眼前には巨大な城塞都市が広がっていた。


・・・・・・


「と、まぁこんなところ」

「・・・それってひどい話じゃないの?」


マサカツに対してヴィーシャが話しかけてくる。


「聞いたことも無かったけれども、何かしろって言う命令も無かったんだね」

ヤヒスが驚いた顔をしてマサカツを見つめた。


「気になっていたのですが、宇宙とかロケットとは何なのですか?ロケットで月へ行ったように解釈できたのですが」

ミードリがまくし立てるようにマサカツに問うた。


「月は空に浮かぶあの月さ、ロケットはそこへ行くための乗り物、宇宙とはこの世界を含めた無限に広がる真っ黒な空間のことさ」

マサカツはかみ砕いて説明する。


「む、では夜になると真っ暗になるのはその宇宙が関係していて、月ももしかしたら星も宇宙の一部なのか?」

リャヒは腕組みをしてマサカツを見ている。


「そうさ、良くわかったね」

「のうマサカツ、モノリスとやらが言うには自由に暮らして良いと言うことだが、ある程度金銭を得たお前はもっと民になることをするとかそう言う必要はないのかのう」


フィスはあぐらをかいて脚に手を置いてそれを上下に動かしている。


「ん~~~この生活が一番合っていると思うよ、だいいち飽きないし仲間もいるから楽しい」


マサカツは笑顔で両手を広げる。


「マサカツらしいや」

ヤヒスがそう言うと皆が笑った。


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