番外編 マサカツのこと④
マサカツは無事に豊中工業高校に入学していた。
部活として選んだのは弓道部だった。
理由は簡単で、数少ない女生徒で、それも美人の弓道部主将に惚れ込んでしまったからだ。
また、それとは別に工作系チームにも属していた。
「うーんどうしてもタイヤがスムーズに回転しないなぁ」
「先輩たちの残したメカボックスを乗せるだけじゃやっぱり駄目だな、多分ギヤ比とかもあるけど・・・もう一度計算しなおしてみよう」
「ロボコンクまで半月しかないよ、ぇあー・・・やっぱ入賞は無理かなぁ」
豊中工業高校の工作室では複数の生徒が工作ロボットを囲んで何やら話し合っている、彼らはロボコンク(高校生ロボットコンクール)に出場させる機械の調整に四苦八苦しているのである。
マサカツもその中の一人で、三年生に混じって二年生の担当を受け持って作業していた。
「なぁなぁ、昨日の魔改造の闇観たか?」
「当然!電子レンジでストラックアウトするなんてイカレた発想だよ」
マサカツは友人の投げかけに満面の笑みを浮かべる。
「やっぱプロはスゲーよ技術と蓄積が違う、あれに比べたら俺らのやっていることはお遊びだぜ」
「おいコラ二年、そのお遊びで手こずっていちゃーしょあーないだろうが」
三年生がハッパをかけてくる
「サーシタ!」
「サーシタ!」
マサカツたちは三年生に詫びを入れる。
半月後のロボコンクの本番、豊中高校は現在二位の所までこぎつけていた。
「ここまでは好調、冷静にいくぞ!」
円陣を組んで気合を入れる。
マサカツのチームは順調に点数を重ねていたが、ある時点から得点となるボールが目に見えて入らなくなっていた。
「クソッ!何かトラブルなのか??原因は何だ?」
「おそらく感知センサーが機能していないんだろう・・・」
「メルカレで買った機械のパーツを取って使ったのがマズかったのか・・・予算削減のためにとんでもないポカをしてしまった・・・」
マサカツは安価なパーツを仕入れて機械に組み込んだことを後悔していた。
そのパーツも大会直前まで何の問題もなく動作していたものだったので、余計に頭が混乱していた。
「おい、マサカツ、よく覚えておけよ、なぜうまく機能しなかったのか考えるんだ、誰が失敗の原因を作っても誰も責めるやしない、その分次に生かすことだけを考えるんだ」
先輩はマサカツの肩を叩いて真剣な顔をした。
それから一年が経過しマサカツは大学入試試験のシーズンを迎えていた。
志望校は名古屋大学であり、航空宇宙工学の学部が存在する学校である。
その頃のマサカツはほとんどの学科で上位5位に入る成績を収めており、工作室にこもりつつ、家では勉強詰めと言う生活をおくっていた。
だが彼にとっては苦しいものではなかった、わからなかったことが分かること、出来るようになることに、大いに喜びを感じていたのである。




