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283 ハウリング④

法務省に獣人と大臣が密かなやり取りを示す証拠を提出して3日目、ヤヒスとマサカツはその結果を聞きに再び法務省を訪れていた。


「ヤヒス殿・・・」

「はい、例の書類の見分結果を聞きに来ました」


「ふーむ・・・結果から言うとな、偽造書類で大臣の失脚を狙う悪質な手口だと結論付けてな、本来なら投獄されるところを、国家金星勲章を持つ英雄が罠にはめられたのだとして無罪と、そう言う結果になった」

「お、俺が投獄されるところになるって!?俺が罪を被るはめになるところに・・・そん」


そこにマサカツが割って入って来た。


「温情感謝いたします、今後は文書を良く見きわめて提出しますから、相済みませんでした」

彼はそう言ってヤヒスの手を取って法務省の建物を出た。


「なんだよマサカツ!こっちが罪に問われることになる所だったんだぞ!!文句の1つも言わなきゃ!!」

「気持ちは分かるがここはすんなり引き下がる方がいい、失敗してスゴスゴ帰りましたー・・・と言うポーズを見せつけるんだ」


それでも気の収まらないヤヒスとサラリと流すマサカツが並んで庁舎街を歩いていると、二人の衛兵に声をかけられた。


「お前たちは黄昏パーティーのヤヒスとその仲間だな?」

「そうですけど・・・」

「ちょっと付いてこい」


ヤヒスに対して圧をかけるような仕草で衛兵は二人を庁舎の角に連れて来た。

すると、柱の陰から一人また一人と衛兵が現れ二人を取り囲んだ。


「安心してくれ、危害を加えようと言うわけではない、我々は国の未来を憂う衛兵団だ」

「お前たちが提出した書類の内容は会議室の外から聞いていた、上の方では偽造書類とされたようだが、我々はあの内容を信じる」


兵士たちはぼそぼそと二人に話を伝えて来た。


曰く、大臣の部屋に入室が無いのに、誰かと会話する声が聞こえること、ドルガン王国との断絶は大臣が強く勧めていたことなど、それぞれの持ち場で大臣のあやしげな様子を見聞きしたと言うことだった。


「お前たちは勇者パーティーで知恵も効くと聞いている、力を合わせて真実を暴こうではないか!」

衛兵は力を込めた。


「ここでハイと言わなければ情報が漏れる恐れがあるため殺されますからねぇ、まあ、こっちもどうやって衛兵に対処しようかと考えていたので、話しに乗りましょう」


「侵入者、もしくはあやしい人物を見た方は?」

マサカツが問いただすと全員心当たりがないと言った。


「やはり鳥の獣人・・・ネコ科のどちらかが窓から侵入しているのでしょう、抑えるには侵入して密談が始まり、記が熟してきたころ、多分15分くらいしてから大臣の部屋に族が侵入したと他の衛兵も集めて部屋に突入しましょう、事実ですし」


「どうやって侵入を見張るんだ、大臣の部屋辺りは見通すのが難しい、それに見張りに立っていたら怪しまれるぞ」

衛兵の一人が当然の疑問を向けてくる。


「ウチのパーティーには特殊な鷹がいるんだよ、彼に見張らせる」

「・・・あっ!!そう言えばグリフォンを使役していると聞いたな」


ヤヒスの言葉に衛兵たちは合点が言ったと言う態度を取った。


「なるほどそこで獣人もろとも捕らえると言う言うわけか!」

衛兵の一人が顔を高揚させて喋っている。


「いや、獣人は逃がす」

「え!?なぜ?」


マサカツの言葉に衛兵は全員おどろいた顔をした。


「獣人の本拠地が分からねば根本の解決にはならない、たとえ捕縛し拷問しても死を選ぶだろう、だからウチの鷹に後をつけさせてそれを探る、当然大臣を押さえ、書類を確保してくれ、これには君たちにしかできない、頼りにしている」


「お、おお・・・もちろんだ」

「腕がなるぜ」

「必ず証拠を押さえてやるよ!」


衛兵はマサカツに羨望の目を向けている。


(最初は衛兵が主導権を握っていたのに今ではまるで逆だ・・・たいして話もしていないのに・・・マサカツが味方で良かった)

ヤヒスは半分蚊帳の外になりながら話を聞いていた。

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