表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

278/293

279 黒ローブの男②

「・・・詳しく話してくれないか」

「ああ」

シースは顔をあげて彼にまとわりついている子供たちに声をかけた。


「おいちびっ子ども、大事な話があるからまた明日な~」

子どもたちは不服そうにしながらも素直に散っていった。


「どこから話すかな、俺が食うや食わずだったのは知っているな?そんなときに黒ローブの男が話しかけてきたんだ、近く魔物の国がソヴィルバーレに攻め込むから仲間に加わらないかと」

「やはりあの戦いは仕組まれた物だったのか」


シースの話しにヤヒスはうなづいている。


「金払いも良かったし、人間に恨みもあったから即飛びついたよ」

「大きな組織なのかい?」

「俺には規模までは分からなかった、秘密の多い組織でね、だが組織名は分かったハウリングだ」

「ハウリング・・・遠吠えって意味だね」


シースは紙切れを見つめながら、何か記憶をたどるような表情をしている。


「思い出した、この国から南のそう遠くないところにアジトがあった、最も俺は1回しか行ったことが無かったし、アジトは変えている可能性があるがな、地図を出してみろ」


シースは地図を見つめていたがペンで丸印と木を三本書き込んだ。

「街道を進むとまずレンガ造りの廃屋がある、そこを南下するとひときわ大きな三本杉があるんだ、そこから10分ほど進むと森の中に踏み跡がある、そこを進めば奴らのアジトがある」

「うんうん、わかったよ兄ちゃんありがとう!」


ヤヒスはそう言うと街路に消えて行き、集合場所になっているカフェのテラス席で、他の全員と合流した。


「ごめんよ遅くなって」

「いいわよ、皆ついさっき集まったような感じだし、ところで収穫はあったの?」


ヴィーシャはヤヒスに話を振った。


「ワーウルフの男に話を聞けたよ大まかな話はこうだ・・・」

ヤヒスはシースに聞いたことを全員に伝えた。


「ハウリングね・・・リャヒが想像してたことも当たっていたようね、この組織が先の戦争に関わっている」

「そのアジトとやらは絶対に押さえたいのう」

ヴィーシャとフィスは地図をのぞき込んで険しい顔をしている。


「む、まずは一番最初にアジトを見つけ出したほうが良いだろうか」

「そこを押さえられたなら構成員を捕らえられる」

リャヒは横に座ったパムに話しかけて今後の方針を伺っている。


「そうね、でも最初に冒険者ギルドに顔を出しておきましょう、何か情報があるかもしれないわ」

ヴィーシャが椅子を立つと次々とそれにならって席を立ち、代金を無造作にテーブルに置いてギルドに向かった。


「お、黄昏の連中、久々に見たぜ」

「また変なクエストを押し付けられたのか?」


椅子に座った面々が声をかけてくる。


「はは、機密保持だよ」

ヤヒスがそう言うと一人の冒険者が言った。


「て、ことはドルガンとの件は知らないのか?」

「ドルガンがどうしたのよ」


「知らんようだな、現在ソヴィルバーレとドルガンは国交断絶状態にあって、国境に壁が築かれ兵が駐屯している」

「なんですって・・・」


「理由はなんだ、上からの発表はないのか?」

「それが誰も知らされてねぇんだな」

リャヒの問いに冒険者の一人が答えた。


「戦争になるって噂もあるぜ」

「戦争・・・今までうまくやってきていたのに」

ミードリは困惑した顔で額に手をあてている。


「情報ありがとう!!私たちも心当たりがないわけでもないから調べてまわるわ!」


ヴィーシャは早足でギルドを出ると南門に向かった。


「ハウリングが関わってると思っているんだろう?」

「そうよ!可能性は高いわ、だから今からアジトに踏み込むわよ」

ヤヒスの質問にヴィーシャは早口で答えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ