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277 花の村⑤

「獣人ですか・・・特に国もを持たず、いえ、持てずに身を隠して各地を放浪している種族ですね」

「む、なぜ国を持たぬのだ?」


「国を持つのには近隣諸国と交流が必要です、ですが獣人は受け入れられなかったのです、何も悪いことをしていないのに、見た目が人間と違い過ぎると言う理由からです」

「我が国も見た目はオークやゴブリンだが受け入れてもらえておるぞ」


ミードリとリャヒが獣人のことについてやり取りしている。


「君の国は希土類が産出された、ドルガンはそれを自国の利益になると踏んだのだろう、ソヴィルバーレも他国の農地を肥やすことで飢饉の際に食料の確保が出来ると考えたとか、そんな所だろう」

マサカツが腰に手をやって横から話に入った。


「ちょっとマサカツ、そう言う打算的な事情を話してはダメよ、リャヒの国はせっかく勃興期に入っているのに」

「ああ、すまなかった、だがどんな事情であろうとも国が栄えているのは良いことだよ」

ヴィーシャにとがめられマサカツは詫びを入れた。


「む、良い、そんなことより今は獣人とベルンなる輩のことだ」

「そうだね、目的が分からない、自分たちでケーシを栽培して人間の村をアヒン漬けにして金を吸い上げた方が効率が良い気がするんだけど」

リャヒの隣に立っているヤヒスが二の腕を叩きながら考えている。


「うん、でも今は弱った人を手当てしなくては」

パムがそう言ったので全員作業に戻った。


しばらくしてケーシ畑はチヌックの火炎でそれこそ粒まで燃やし尽くす勢いで火をまわし、各家を周ってケーシの実を集めて燃やし尽くした。


それから2週間ほどすると、アヒン中毒の人々は各村に戻って行った。


「あの人で最後ね・・・」

「ああ、無事にたどり着いて欲しいけど」


ヴィーシャとヤヒスは肩を並べて複雑な顔をしている。


「さて、おい、村の連中よ・・・お前たちは村を捨てて早く逃げた方が良いぞ、帰った連中は必ず復讐に戻って来る、必ず、だ」


フィスは振り返って怖い顔をして言った。


「同意見だ、ベルン達獣人の目的が見えてきた気がする」

マサカツの意見にパムが答えた。

「どういう事?村人への復讐はわかる、でもベルンとはつながらない」


「つながらないように見せている・・・のでしょう、この場合ケーシを与えて村落や大都市間でのいざこざを起こします、それはまた別の方向に飛び火します、都市間の均衡が崩れます」

「あのケーシの小袋1つで平和が崩れると言うところか」

ミードリの話しにヤヒスがうなづいている。


「フン、そこでケーシを牛耳っているベルンとか何がしが出てきて世の中を操作する、と言うことか、ふーん・・・うまいやり口だのう」

フィスは心底気に入らないという表情で地面を蹴りつけている。


「急ぎましょう!とにかくソヴィリバーレに急ぐわよ」

ヴィーシャの掛け声とともにヤヒスがチヌックを呼ぶ声がこだました。


村の広場にグリフォンが飛来したので村中驚きに満ちている。


「みんなのって!」

ヤヒスの声掛けに応じてパーティー一行はチヌックの背に乗った。


「あなたたち!!必ず逃げるのよ!!」

ヴィーシャの叫びと共にチヌックは上空へ吸い込まれて行った。

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