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274 花の村②

インテリジェンスソードのプチはヤヒスの正気を取りもどさせようと柄で頭を小突いている。


「ヤヒス殿!ヤヒス殿!!」

「うっううっ・・・アヒンとか言ってたな、このけだるさは」

「まずは自身に剥離スキルを!!ヤヒス殿!!」


「ふぅ・・・頭が回らなくなってた、剥離!アヒン!!」

ヤヒスは自分の頭に剥離のスキルを使い、アヒンの効果を取り除いた


「うっ、まだ少し残っているな・・・ヴィーシャ、大丈夫か?剥離!アヒン!!」

ヴィーシャの後も次々と仲間に剥離スキルを使うヤヒスだったが、その間にも少なからず村人がやってきては宙に浮かぶインテリジェンスソードのプチと倒れ伏した別の村人を目にして、困惑顔でただ見ているだけだった。


「ふぅ・・・アヒンだか備品だか知らないけどヤヒスのおかげで完全に覚醒したわ!!」

「オーウ・・・マスターヴィーシャ、いつものエレガントな笑顔に戻って私、幸福のいたりです」

「危機が去るといつもの軽薄さに戻るのね、まぁいいか、ありがとうプチ!!」

「恐悦至極でございます~~~」


「うぅ・・・ひどい目に合った、国に帰ってもこのアヒンだけは厳重にとりしまらねば」

リャヒが立ち上がりながら言った。


「不覚、植物学の項目で麻酔や痛み止めにと習っていた」

「あぁ、俺の世界でも似たような名前で存在していた、あの植物の中毒性で国が滅びかけたこともある危険なシロモノだ」

パムとマサカツは花を見分けられなかったことを悔やんでいる様子だ。


「お前たち・・・こうして旅人を襲って身ぐるみ剥いで殺していたな・・・?」

フィスが冷たい目をして言った。


「ち、違う!何も奪っていないし殺してもいない!!」

村人は慌てふためいて後ずさりしている。


「これは・・・おそらく言葉のあやですね、マサカツさんの言うように中毒性があればまたアヒンを欲しがります、その時に持ち物と交換するのでしょう、これで交換が成立します」

「アヒンを続ければいずれ廃人となって死ぬ、これはアヒンを自ら摂取しているうえでのこと、緩慢な自殺と言えなくもない・・・そう言うことだろうお前ら!」

ミードリとマサカツは仮説を立てて村人に付きつけた。


「てことはどこかに旅人を幽閉する場所があるってことね」

図星なのだろう、ヴィーシャの言葉に村人は肩を揺らした。


「ふむ、案内せよ、その者らも救わねばならぬ」

リャヒはずいと前に出た。


全員が武器を取り戻した後で、村人に案内されて大規模な倉庫のような場所に着いた。

彼らが扉を開けると凄まじい悪臭が漂ってきて、全員鼻と口を覆った。


「ひどい匂いだ・・・こんなところに人間を閉じ込めていたのか、許せない・・・」

ヤヒスが絞り出すような声を出した。


「しかしこんな状況ではまともに作業ができません」

ミードリは嗚咽をもらしている。


「ヤヒスのリュックには山脈越えで使用した酸素マスクがまだ入っているはずだ、それを使おう」

マサカツがそう言うとヤヒスは民家にリュックを取りに戻り、急いで酸素マスクを取りだして結合のスキルを使用した。


「うん、これならだいぶマシ」

「そうじゃのう、ワシは鼻が利くのでさっきから吐きそうだったわ」

パムとフィスがやり取りしている。


そう言う具合に全員がマスクをつけて建物の中に入って行った。



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