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272 花の村①

ヤヒス達は今日もチヌックの背に乗り先を急いでいた。


「もう水が少ないよ、どこかで調達できれば良いんだけど・・・」

ヤヒスは皮袋の水筒を揺らしている。


「我が主、もうすぐそこに村がありますゆえそこで調達なされてはいかがかと」

「そうなの?じゃあ村はずれに降ろしてくれないか」

「は、我が主」


チヌックはしばらくすると村の外れに降り立った。


「わぁ、花畑ですね、きれい・・・」

ミードリがそう言うとパムがそれを見つめている。


「何かの本で見た気がする」

「どんな花なの?」

パムの発言にヴィーシャが合いの手を入れる。


「それが、思い出せない」

「そう言えば俺もなんか記憶にあるような・・・」

パムとマサカツは一輪づつ花を摘み取った。


その後、村まで到着すると、村人は暖かく出迎えてくれて、水も分けてくれた。


「旅人さんだね、この村では旅の安全を願う儀式があるからぜひやっていかないかい?」

おばさんが笑顔で話しかけてくる。


「うーん・・・みんなどうする?」

ヴィーシャがそう言うと皆興味があるようなことを言い、マサカツは新しい文化を見たいと乗り気だった。


「じゃあお願いしようよ」

ヤヒスがそう言ったので、流れ的に儀式を受けることになった。


「武器はね、身に付けないで儀式を受けるのよ、だからここにまとめておいて」

おばさんがそう言うので、全員が武器を部屋の片隅に立てかけた。


おばさんに案内されて中規模の部屋に入ると、金属でできた壺の中に、火がたかれていた。


「椅子に座って心を静めて深呼吸するの、旅が順調に進むことを願うの」

そう言われて全員がそれに倣う。


「頃合いを見てまた来ますからね」

そう言っておばさんは姿を消した。


(なんだ・・・頭がぼんやりする・・・いい気分になって来た、からだが・・・)

ヤヒスは地面に倒れ伏した。


「油断した・・・あの花はアヒンの元になるケーシ・・・気分が高揚、それ以上に高い中毒・・・」

パムは先ほど摘んだ花をポケットから出して見つめている。


全員がぐったりして動けなくなったところで、扉が石壁ごと薄板の様に切り裂かれ、反対側の石壁も吹き飛んで野外があらわになった。



「マスターヴィーシャの身体に異常を確認、救助活動を開始する」


部屋の中に大剣が浮かび声を出している、インテリジェンスソードのプチだ。

プチはヴィーシャの身体を剣に預け、野外に持ち出してそっと地面に寝かせた、彼が順次パーティーメンバーを運び出していたところに、村の住人が駆けつけて来た。


()()()()()の壁が破壊されているぞ!?」

「どう言うことだ!!」


「貴様らマスターヴィーシャと同胞を罠にかけたな・・・断じて許せん!!」


プチは柄の部分を先にして鋭く宙を飛び、男の腹に当て身をし、他の村人にも次々と当て身を繰り出して行った。


「おっ・・・折れた」

「アバラが・・・」

「額が割れている・・・ちくしょう」


村人は全員倒れ伏してうめき声をもらしている。


「手加減してやったのだ、本当なら切り刻みたいところだがマスターヴィーシャはそれを望まないだろう・・・」


プチは低い声でそう言った。

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