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263 塔の町⑤

ホテルソフィアのフロアを黄昏パーティーはカツカツと歩き、ドアに向かうとドアマンが静かにドアを開けた。

そのまま丘を町まで降りると、町の喧騒が肌で感じられる。


「賑わっておる町だのう」

「うむ、我が国もこうありたいものだが、今は農業に力を入れるべきであるな」

フィスとリャヒはそれぞれに町の賑わいを楽しんでいるようだ。


町を抜けて緩やかな丘陵をしばらく歩くと、ソフィアの塔が空へ伸びている。


「おぉ・・・想像よりも大きくて高いな・・・ウチの麦畑くらいはあるよ」

「高さも先が見えません」

ヤヒスとミードリは立ち止まって見上げている。


残った面々は塔の入り口にある小屋にすわって船を漕いでいる中年男性に声をかけている。


「塔に入りたいんだけど良いかしら?」

ヴィーシャが男に声をかける。

「んぉ?おお、お前さん方は武装してると言うことは塔の攻略組だな?久しぶりだな」


「塔に挑む人は少なくなっているの?」

パムが話しかけると男は両手を広げてため息をついた。


「何百年と攻略されていないからなぁ・・・挑もうとするやつはまぁ減っておるよ、実際の所本当に姫様がいるのかどうかも分からんしな」

「当然魔物は出るんだよね?」

マサカツの言葉に男が反応する。


「ああ、防護フィールドを越えて2階より上に登ると魔物が出てくるよ、2階まではまぁ観光気分ってところさ、と言うわけで、入場料2000セン!」


「ふむ、料金がかかるのか、これならある程度の収入になるわけだ、上手い仕組みであるな」

リャヒは頷きながら料金の張り紙を見ている。


「はい、7人分で14000センね」

「ほいチケット」


ヴィーシャが料金を支払うと、男は小さいが色彩の良い紙を渡してきた。


「おぉ、これは記念になるな、姫様の絵が描かれている」

ヤヒスはチケット1枚で少し浮かれた気分になった様子だ。


塔に入ってすぐの1階塔の上層階で得られた絵画や珍しい調度品が飾られていた。


「へぇ・・・本当に観光地なのね、ヴンダーカンマーみたいだわ・・・」

「ヴンダーカンマーとは何?」


声を出したヴィーシャにパムが質問した。


「通称不思議の部屋、珍しい品々が並べられた場所のことだろう?俺のいた世界にも同じ意味合いの記録があったよ、ドイツ語だったか・・・異世界にも共通した存在があるとは思わなかった」

マサカツが後ろから声をかけてくる。


2階は小窓が付いており、そこから外をのぞける仕組みで、椅子とテーブルが設えてある。

その階は無視して、フィールドを抜けて3階へ上がった。


「うはぁ・・・これはまるで迷宮だね通路が入り組んでいるし小部屋もいくつか見えてる」

「地図は手に入れてきたの?」


ヤヒスとヴィーシャは辺りを眺めましている。


「それが・・・入るたびに塔の内部は変化するので、地図は意味をなさないそうです」

ため息をついてミードリが言った。


「むう・・・どうすれば良いのだ」

リャヒは首をひねって困った顔をしている。


「フィスの嗅覚でなんとかならないの?」

「マスターよ、この迷宮が毎回変化しているのならば匂いが残っていても意味が無い」


そのうちにヴィーシャが何かを見つけたようで声を出した。


「ねぇ、この曲がった金属棒、いっぱいあるけど何なのかしら、攻略に使うの??」

「振り向くと木樽の中にL字型の金属棒が何本も刺さっていた」


「杖・・・にしては短すぎますね」

「武器ではないのか?属性が乗っているとか」

ミードリとリャヒは棒を持って思案している。


「これは・・・ダウジングだ・・・」

「ダウジング?」

「うん、これは水脈や埋蔵物を掘り当てるまぁ・・・まじないみたいなものの一種でね、俺のいた世界ではその効果は否定されていたよ、だがここは異世界、効果がある可能性もあるね」


マサカツは曲がった金属棒の短い部分を持って言った。



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