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261 塔の町③

「「あじゃんけんぽん!!」」


「よっしゃー!!!」

マサカツが両手をあげ、他の二人は残念そうな顔をしている。

勝者はマサカツだ。


ドアを開けて寝室に入りベッドに飛び込むマサカツ。


「ばいんばいんだ、ははは」


「むう、しかしまぁ我らの部屋も悪くないぞ」

腕組みをしながらリャヒが入口に背を預けている。


「俺、風呂入れてくる」

ヤヒスはバスルームに入って行ったが、すぐに大声をあげて小走りに戻って来た。


「もう湯が貼ってあるし、なんか花が浮いてる!」

「なに!?花が!!」

「おぉ、話しには聞いていたけれど異世界でもそう言うのあるんだな・・・」


しばらくバスルームを見てはしゃいでいたが


「さて、今度は一番最初に風呂に入るのは誰になるかな?」

ヤヒスはにやりと笑うとじゃんけんの体勢に入った。


「うーん・・・そうだ、ちょっと趣向を変えてみようか」

そう言うとマサカツはデスクの方に歩き、メモ紙とペンを手にした。


「む、どんな方法で決めるのだ?」

リャヒがいぶかしんでいる所に、マサカツは縦線を三本引き、線と線の間に横線をいくつか引いたあとで、真ん中の縦線に二重丸を書いた。


「君たちもこの縦線の間に好きなだけ横線を記入したまえ」


リャヒは素直に横線を何本か引き、その後でヤヒスは遠慮気味に線を加えた。


「・・・これって・・・この線をたどっていって二重丸に到達した人が勝ちってこと?」

ヤヒスはマサカツに疑問をぶつけた。

「その通り、俺のいた国ではあみだくじと呼ばれている」


「む、しかしこれでは二重丸に到達するのが二人などと言うことになるのではないか?」

「それがならないんだよ10人がやっても決して同じ所へ到達することは無いんだね」


「ささ、縦線の上に好きに名前を書くと良いよ」

マサカツはヤヒスにペンを持たせ、彼は一番左に名前を記入し、次にリャヒが真ん中に書き込んだ後、自然にマサカツが一番右になった。


「よっし、スタート!」

マサカツは鼻歌を歌いながら線をたどっていき、残る二人は興味深そうにのぞき込んでいる。

ヤヒスの回は一番右下に到達して、外れとなり、次にリャヒの線をたどると真ん中の二重丸に達した


「おぉ!!我がアタリだ!!」

「さて僕は自動的に外れになるわけだが、一応線をたどってみよう」


マサカツの持つペン先があみだくじをたどり、一番左下に到達した。


「すごい・・・全員違う位置に到達した・・・出鱈目に線を引いただけなのに」

「これは100人でやろうとも全員別の位置に到達して重複することは無い、ただ、最初の時点で有利不利はあるんだけど、第三者があたりの位置をランダムに設置して、その位置を隠せば公平にはなる」


「ふむ、どう言う仕組みなのだ?」

リャヒは紙に見入っている。


「これは俺も良くわからない、何か方程式的なものが関係すると聞いたけど」


ヤヒス達は何度もあみだくじを作り、試してみたがどれもきれいに勝敗が別れた。

その内にドアがノックされる音が響き、出入り口に向かった。


「はい、何でしょうか?」

ヤヒスがドアを開くとそこには女性陣が集まっており、ホテルマンもお辞儀をして控えていた。


「食事の時間よ!さぁ行きましょう!!」

ヴィーシャが声をかけてくる。


ホテルマンに続いてしばらく進むと白基調の大部屋に入り、そこには長いテーブルとこれも白基調の椅子が人数分用意されていた。


庶民と貧困国の王であった面々は気おされていたが、ヴィーシャの顔色は特に変化していなかった。

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